日本では1991年の成田空港駅鐵道乗り入れ以降、急速に鉄道の空港乗り入れが発達している。今回はこれについて見ていく。
日本の空港鉄道は安すぎる!
そもそも空港を発着する航空機はセールでもない限り1人片道1万円以上するのがザラで、家族旅行となれば往復10万円飛んでもまったくおかしくない。ましてや訪日外国人インバウンドに至ってはなおさらだ。
そんな額面のため、正直空港鉄道が数百円だろうか千円かかろうが見境なく乗る傾向にある。
京急電鉄の品川~羽田空港間343円、横浜~羽田空港間397円なんて安すぎるのである。正直両方とも1,000円に値上げしても乗ってくれるだろ。
また札幌~新千歳空港間は2025年4月1日以降でも1,230円である。この安すぎる運賃のせいで高速バスは無理に安い運賃で運ばざるを得なくなり、収益が悪化し地元の地域路線がどんどん減便しているのである。札幌~新千歳空港間なんて適正価格2,000円なんだからそこまで値上げすべきだろう。
そう考えると、空港駅発着の鉄道は現状より500円~600円値上げしても問題ない。
空港駅利用料金加算で地元の鉄道・バスの値上げ阻止や減便回避が可能に!
もし航空機における各空港の設備使用料の感覚で鉄道にも空港駅利用料金を設定したらどうなるのか。
まず鉄道会社はその分増収となる。
実際大手私鉄では鉄道駅バリアフリー料金制度による10円値上げでとどまる会社が多い中、空港駅を通る鉄道である東京モノレール、JR東日本、京急電鉄、名古屋鉄道、南海電鉄、JR北海道の各社では2022年~2026年の間に相次いで値上げしている。もっとも京成電鉄やJR西日本のように10円しか値上げしていない会社も存在はするが空港乗り入れ鉄道の中では少数派であるし、両社とも成田空港や関西空港発着特急料金を2022年~2024年に値上げ済みである。
運賃値上げには国土交通省の認可を受けなければならず、受けるには今後3年間の赤字見込みを証明しなければならない。このため022年~2026年の間に値上げした鉄道各社はすでにかなりの財政難であることが伺える。
もし空港駅利用料金制度を導入すれば、その分ほかの区間の今後の運賃値上げを抑えられる。つまり地元の鉄道の運賃を据え置くことが可能になるかもしれないのだ!
もっとも福岡空港駅のように地域利用が多く見込まれる駅は設定は避けるべきだが、羽田空港、成田空港、中部国際空港、関西空港、神戸空港、新千歳空港ではどんどん空港駅利用料金を徴収すべきだろう。
空港駅利用料金設定に全く追いついていない鉄道事業法
ただ日本の鉄道運賃政策は空港駅利用者のことを全く考慮していない。
そもそも日本の鉄道・軌道運賃の値上げに必要な認可申請は鉄道事業法に定められている。この鉄道事業法は1980年以前の鉄道がほとんど空港駅に乗り入れていない時代につくられた法律で、根拠は不必要な値上げをすることで地元住民の支出を気づかないうちに増やし貧困・資金繰り難を生んでしまうことを防ぐためのものである。それくらい鉄道が地元住民に必要な足となっているとみなしているのだ。
が、空港発着利用はその地元の足に入るだろうか?むしろ昨今の鉄道運賃値上げは地元の足を値上げし放題で空港発着利用はそこまで値上げしていないどころか一部値下げするくらいではないか。鉄道事業法の目的が地元の足を守ることであるなら、地元の足ではない空港発着利用を値上げして地域利用の値上げを防ぐべきではないか?
もっとも空港勤務者の定期券値上げは考えられるが、そもそも定期券代を支払うのは雇用企業だし定期券は空港駅利用料金対象外釣れば値上げは防げる。定期外の普通利用者だけ値上げすればよい。
結び
日本の空港乗り入れ鉄道は安すぎる。
一方、法整備が追いついておらず鉄道事業法の本来の目的である地元の足を守るが空港駅利用料金制度が導入できないことによりかえって地元の足を失いつつある。
今後空港乗り入れ鉄道でどのような価格設定とするのか、見守ってゆきたい。
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