新横浜線開業と同時に値上げへ 東急電鉄運賃改定(2023年3月予定)

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新横浜線開業と同時に値上げへ 東急電鉄運賃改定(2023年3月予定)

東急電鉄は2022年1月7日、プレスリリースにて2023年3月に運賃改定を行うと公表した( 2023年3月の実施に向けて鉄軌道旅客運賃の改定を申請 )。また東急電鉄は2022年2月3日、プレスリリースにて2022年3月12日よりみなとみらい線との連絡通勤定期の割引を縮小し値上げすると公表した( 東急線・みなとみらい線連絡割引定期券(通勤定期)の割引率・発売額の変更について )。今回はこれらについて見ていく。

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17年ぶりの値上げへ

今回の2023年3月東急電鉄運賃改定では、ほぼ全線で普通運賃と通勤定期運賃を改定し値上げする。

今回の運賃改定では初乗り運賃をIC126円から140円に引き上げるほか、こどもの国線の全区間で値上げを図る。

これにより渋谷~三軒茶屋・自由が丘はIC157円から180円に、渋谷~二子玉川・武蔵小杉はIC199円から227円に、渋谷~日吉・溝の口はIC220円から250円に、渋谷~横浜間はIC272円から309円にそれぞれ値上げすることとなった。

この値上げを見る限り、東京メトロ並みの運賃水準だったものが都営地下鉄並みにまで値上げする感覚である。

なお通学定期券の運賃は据え置く。

今回の運賃改定による普通運賃の変化は以下の通り。

東急電鉄普通運賃
営業キロ(km) 現行運賃 申請運賃
1~3 126 140
4~7 157 180
8~11 199 227
12~15 220 250
16~20 251 288
21~25 272 309
26~30 304 347
31~35 335 381
36~40 377 430
41~45 409 469
46~50 440 500
51~56 471 531

単位:円

その他

  • 世田谷線:147円均一→160円均一
  • こどもの国線:157円均一据え置き

おそらく今回の運賃値上げの主目的は、会社経費として支出できる通勤定期の値上げによる増収である。ただ、普通運賃を値上げすることなく通勤定期のみを値上げするわけにはいかないので、普通運賃も値上げしたに過ぎない。家計を圧迫しかねない通学定期の値上げを行わなかったのはその意図だろう。

なお今回運賃改定を行う2022年3月には東急新横浜線を開業する。このことから新線開業と運賃改定を同時に行うことで改定作業費を抑えるようだ。

なお東急新横浜線新綱島~新横浜間はこの運賃とは別に新線開業に伴う加算運賃20円を追加で徴収する予定だ。




本当に必要な運賃値上げ上限申請額なのか

ただ今回の運賃上限申請額は、本当に必要な額なのだろうか。

もっともこのご時世で旅客が減っているため多少の運賃値上げは致し方ないし、今回の運賃値上げを2023年3月予定としているのは新横浜線開業と同時に運賃表を張り替えることによりシステム変更日数を減らすことができ変更にかかる費用を抑えて運賃を引き上げることができるため合理的といえる。

ただその割にまだ車齢の若い大井町線へ新型車両を投入するとしているし、東横線のワンマン化を見据えるとしている。東横線は全列車・全駅でワンマン運転に対応しているのだから、運賃値上げより先にワンマン化して経費節減を図るのがスジなんじゃないの?

ましてや大井町線の新車をチマチマ入れている余裕なんてあるはずもない。せめて一斉投入してホームドア完備の大井町線でもワンマン化しようと思わないのか東急電鉄。

さらに上限申請書類を見ると、令和4年度、つまり2022年度より各種工事費を2倍以上に大幅に増額するのである。まさか工事を施行する会社にお金を渡すために旅客からカネを巻き上げようとなんてしていないよね?まさかね?

そう考えると今回の申請上限額まで大幅に引き上げることは必要だろうか

(2022.10.15 追記)また、東京急行電鉄株式会社は2019年10月に東急株式会社に商号変更、その後すぐに鉄道事業を東急電鉄株式会社として分社化している。そもそも東京急行電鉄は多摩田園都市など大規模な住宅分譲で大きな利益を上げているし未だに不動産事業で利益を上げている。もし利益を上げている部門があれば、そこから鉄道事業の赤字補填をすれば企業としては成り立つが、過去3年間の運営会社の通算赤字見込みが証明できなければ運賃上限認可が通らない。

そうなると東京急行電鉄の鉄道事業分社化は、当初から東急新横浜線開業に伴う運賃値上げありきだったのではないだろうか?




みなとみらい線との連絡定期券をさらに値上げへ

今回の2022年3月12日東急電鉄運賃改定では、みなとみらい線との通勤連絡定期券を値上げする。

通常2社以上を跨ぐ連絡定期券はそれぞれの定期券の合計額を合算するのだが、東急電鉄とみなとみらい線を跨ぐ定期券は東急線愛とみなとみらい線内それぞれにおいて通勤・通学ともに1か月定期または3か月定期なら1割引、6か月定期なら2割引を行っていた。

しかし今回の運賃改定で通勤定期券に限り割引率を縮小し、1か月定期または3か月の通勤定期は無割引、6か月定期は1割引に値上げすることとなった。6か月定期の割引を設定し続けるのはおそらく激変緩和措置と思われ、近い将来無割引になる可能性が高そうだ。

もっとも国土交通省の認可を受けている上限運賃を下回る範囲内での設定だったため今回の割引率縮小に伴う値上げ自体は法的には問題はない。が、この連絡定期券の値上げを公表したのが今回の2023年3月の東急電鉄運賃改定のパブリックコメントの募集を終えてから2週間以内だったため、今回の割引廃止で運賃改定前後の条件が変わってしまうのである。

しかも東急電鉄は過去に東横線渋谷~日吉間・目蒲線(現目黒線)目黒~多摩川園間及び新玉川線・田園都市線渋谷~溝の口間にて特定都市鉄道整備事業計画に係る加算運賃を設定したことがあるが、本来徴収期限の10年を過ぎた場合は10年かけて加算運賃分を基本運賃から値引きしなければならないはずなのに運賃改定で値上げすることで加算運賃分を事実上永年固定化し値下げしなかった。つまり当時の運輸省が設計したシステムを欺いているのである

そう考えると、今回の連絡定期の値上げももうすでに国土交通省への欺きを始めており、申請資料にはない増収を図るようだ。

(2022.9.5 追記)さらに横浜高速鉄道みなとみらい線では、鉄道駅バリアフリー料金制度による値上げも2023年春に行うこととなった。これによりみなとみらい線では全線で普通運賃を10円値上げするほか、通勤定期運賃も上限の1か月600円に値上げすることとなった。おいおい、連絡定期割引がなくなるは両線で運賃値上げするは一気に値上げしすぎではないだろうか?




世田谷線でも運賃値上げへ

今回の2023年3月東急電鉄運賃改定では、世田谷線でも運賃値上げを図る。

2022年現在では全線均一IC147円で利用できるが、今回の運賃改定より160円均一に値上げする。

もっとも路面電車の世田谷線は1人当たりの維持費用が高く、収益性はよくなかった。また東京を走る路面電車の都電荒川線がIC168円であること、周辺のバスがIC220円均一であることを考えれば、160円への値上げは妥当だろう。

なお世田谷線では通勤定期割引率を37.8%から36.0%に引き下げる。


結び

今回の2023年3月東急電鉄運賃改定では、新横浜線開業に合わせ2023年3月に運賃改定を行う見込みだ。

ただ通勤定期割引率が鉄道線で引き上げている点や必要以上の投資を未だに行っており、必要かどうか極めて怪しくこの申請額上演まで必要かと言われると怪しい。

今後東急電鉄でどのような運賃制度を採るのか、見守ってゆきたい。

2023年3月18日東急新横浜線ダイヤ改正はこちら!

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