繁忙期復活とA特急料金並みに値上げへ! JR九州特急料金改定(2022年4月1日)

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繁忙期復活とA特急料金並みに値上げへ! JR九州特急料金改定(2022年4月1日)

JR九州は2021年8月3日、プレスリリースにて2022年4月1日に在来線特急料金を改定すると公表した( 在来線の特急料金の見直しに関するお知らせ )。今回はこれについて見ていく。

A特急料金並みの値上げへ

今回の2022年4月1日JR九州料金改定では、在来線特急料金と座席指定料金を見直す。

そもそも九州島内に割安なB特急料金を設定したのは国鉄時代の1982年4月20日運賃改定からである。その後2011年3月12日の九州新幹線博多~新八代間開業に伴い山陽新幹線と九州島内列車との乗継割引を全廃したことから緩和策として50km超のJR九州管内B特急料金を値下げした。

ただ2020年から利用客が急激に減少したことから、運賃・料金改定を迫られた。運賃や新幹線特急料金の改定には国土交通省への認可が必要であるが、国土交通省はこのご時世による利用減での運賃及び新幹線特急料金の値上げは当分行わないとしている。ただ在来線特急料金や座席指定料金は届出制のため、運行会社が届け出てしまえば原則国土交通省の審査なく実施できる。そこでJR九州ではまず2022年4月1日より在来線特急料金を値上げすることとしたのである。

今回の料金改定は、原則JR西日本のA特急料金の自由席特急料金から100円単位で切り捨てた額に値上げするとしている(ただし50kmまでの区間に限り750円)。これにより特急料金を約40%値上げすることとなった

ただしA特急料金表にない25kmまでの区間は310円から500円に、75kmまでの区間は840円から1,000円に値上げするとしている。このため75km以下の区間ではJR西日本のA特急料金より100円以上安い区間がある。詳細な改定内容は以下の通り。

JR九州管内のB特急料金(普通車指定席通常期)
改訂日 25キロまで 50キロまで 75キロまで 100キロまで 150キロまで 200キロまで 300キロまで 300キロ超
改定前 840 1,160 1,370 1,480 1,780 1,940 2,050 2,210
2022/4/1改定後 1,030 1,280 1,530 1,730 2,330 2,730 2,930 3,130

単位:円

まあ座席指定料金が530円なので指定席特急料金のほとんどで30円の端数が出ることになる。ただ自由席特急券は車内発券の可能性が高いことから極力100円刻みにして車掌などの小銭所持枚数を減らして合理化したいと思っている可能性はありそうだ。

これにより通常期特急料金は博多~長崎・大分間などの主要区間でも1,940円から2,730円に790円も値上がりすることとなった。ただし特急定期券エクセルパスのほかお得なきっぷである九州ネットきっぷ・2枚きっぷなどの値上げの予定はない。もっとも2枚きっぷも4枚きっぷ廃止や福岡市内・北九州市内廃止による実質値上げを行ってきたこともあり、今回は値上げ対象外としたようだ。




事実上の繁忙期加算復活へ

今回の2022年4月1日JR九州料金改定では、事実上繁忙期を復活する。

これまでJR九州の在来線特急料金は通年同額であったが、今回の料金改定より普通車指定席を利用の場合在来線特急料金を200円増しにするとしている。対象日は4月1日から4月5日まで、4月28日から5月6日まで、7月21日から8月31日まで、12月25日から1月10日まで、3月21日から3月31日までとしているが、この期間は九州新幹線やJR東海・JR西日本・JR四国における繁忙期と全く同じである。つまり今回のJR九州在来線特急料金の対象日の200円加算は繁忙期の200円加算と全く同じである。ただ、ほぼA特急料金に値上げしたにもかかわらず200円引きの閑散期がないという点では他のエリアの特急料金と比べてもやや割高となってしまっていることだろう。

鉄道ファンの間では特急料金に座席指定料金を含んでいるとするのが通例だが、国土交通省への届出上は自由席在来線特急料金に座席指定料金を加算して指定席特急料金としている。このため今回の対象日(繁忙期)の200円加算は実質座席指定料金の値上げである

これまでJR北海道やJR九州、JR東日本の東京近郊の普通車全車指定席の特急列車では繁忙期・閑散期を廃止して通年同額にする傾向が強かったが(むしろJR九州は2017年3月4日料金改定まで繁忙期がなく、200円引きの閑散期のみあったほど)、今回の料金改定でJR九州在来線特急料金に繁忙期が復活するということは、それだけ切羽詰められているのだろう。




車内料金加算設定へ

今回の2022年4月1日JR九州料金改定では、福岡県内の一部区間で車内料金加算料金を設定する。

事前料金と車内料金で異なる料金制度を行っているのはJR東日本の東京都市圏発着の全車指定席在来線特急のほか、私鉄でも小田急電鉄や西武鉄道が実施している。ただ今回の料金改定でJR九州でも行うこととなった。

今回対象となるのは博多~小倉~門司港・行橋間の相互間となっており、事前に購入せず特急列車の自由席を利用すると特急料金のほかに200円の車内料金を徴収する。

ただほかの車内料金設定線区では停車駅が全て有人駅なのに対し、JR九州では無人駅・駅業務時間外の特急停車も多い。もっとも福岡県内の特急停車駅は全て有人駅だし停車間隔が狭いので特急料金の取りこぼしも多いことから車内料金の設定は有用だが、今後今回設定した車内追加料金がJR九州全域にまで広がるとは考えにくいのではないだろうか。


結び

今回の2022年4月1日JR九州料金改定では、JR九州管内の特急料金が近距離を除きほぼA特急料金並みに値上げすることとなった。

今後運賃改定の実施も含めJR九州でどのような運賃・料金改定を実施するのか、見守ってゆきたい。

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