多客期を最繁忙期に置き換え200円値上げへ JR東日本新幹線・特急料金改定(2022年4月1日)

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多客期を最繁忙期に置き換え200円値上げへ JR東日本新幹線・特急料金改定(2022年4月1日)

JR東日本は2021年10月5日、プレスリリースにて2022年4月1日に新幹線及び在来線特急料金を改定すると公表した( シーズン別の指定席特急料金の改定について )。今回はこれについて見ていく。

37年ぶりのシーズン見直しへ!

今回の2022年4月1日JR東日本料金改定では、東北・上越・北陸の各新幹線や既に繁忙期・閑散期の適用がある在来線特急でシーズン別区分を変更する。

今回のシーズン料金改定では、これまでの繁忙期(200円加算)、通常期、閑散期(200円引き)に加え、最繁忙期(400円加算)を追加する。これにより既存の繁忙期・閑散期の時期も変更する。

そもそも繁忙期・閑散期は日本国有鉄道時代から設定がある。閑散期は料金値上げに伴う緩和措置として1982年4月20日料金改定より、繁忙期は1984年4月20日料金改定よりそれぞれ導入し、1985年4月20日料金改定以降JR東日本管内では繁忙期・閑散期のシーズンを変更していない。そうなると今回のJR東日本管内の繁忙期・閑散期のシーズン区分見直しは国鉄時代から数えて約37年ぶりの見直しとなる

今回のJR東日本の最繁忙期導入でも旅客収入は通年でならすと変わらないとしている。ただそれでも導入するのは多客期の利用を減らすことで臨時列車(特に新幹線)の運用数を減らし運行費用を削減するほか、将来新車に置き換える際に車両投入費用を抑えることができるため、結果的に増益につながるためである。

もっともこれまでも多客期の利用を減らすために1990年代は新幹線回数券に利用除外日を設け実質値上げしたほか、ネット予約で多客期に適用除外とする商品を多く設定してきた。

ただ新幹線や在来線特急と競合するであろう都市間高速バスはたいていダイナミックプライジングによる大幅な変動料金制度を採用しており、時期により3割増しになることもザラである。そんな中今回の新幹線・特急料金改定で400円増しの最繁忙期しか追加で設定できなかったのは、国土交通省への届出を行わなくてはならないことから座席指定料金を大幅に値上げすることはできないと踏んだためであろう。

なおJR東日本ではネット予約の「お先にトクだ値」や「えきねっとトクだ値」でも繁忙期や閑散期を導入しているため、今回の料金改定に伴い最繁忙期を追加することから、5%割引の場合190円、50%割引の場合100円値上げすることになる。

なお新幹線が直通するJR北海道の北海道新幹線やJR西日本管内の北陸新幹線にも最繁忙期を設定する。またグリーン車指定席が通年同額であることに変わりはない。

それでは各シーズン別にどのように設けているのか、見ていこう。




多客期に最繁忙期400円加算を設定へ

今回の2022年4月1日JR東日本料金改定では、最繁忙期を追加する。

この最繁忙期は通常期と比べ普通車指定席を利用する際に400円加算する期間である。

最繁忙期の期間は4月27日~5月6日、8月10日~19日及び12月28日~1月6日の年間30日間となっており、大型連休やお盆、年末年始など利用が多い時期に設定を限っている。ただこの期間はJR東日本では2021年6月30日までに発売を終了した新幹線回数券の利用除外日と全く同一である。この新幹線回数券の使用できない期間を多客期と呼んでいたことから、今回の最繁忙期の料金加算は多客期の料金加算に等しい

なおネット予約の「お先にトクだ値」はこのご時世で利用者が少ないため通年設定としているが、ある程度利用が戻れば多客期もとい最繁忙期は適用除外とする可能性が高い。まあネット予約のダイナミックプライジングだけでは多客期需要抑制ができなかったから通常料金にも反映することにしたのだろうが、どのような効果が生まれるかは見ものだ。




繁忙期を三連休中心に設定へ

今回の2022年4月1日JR東日本料金改定では、繁忙期の時期を見直す。

従来繁忙期は3月21日~4月5日、4月28日~5月6日、7月21日~8月31日、12月25日~1月10日となっている。もっとも今回の料金改定で最繁忙期の設定により繁忙期から最繁忙期に移行した日はあるが、それ以上に通常期に戻した日の方が多い

今回繁忙期(最繁忙期を除く)を設定しているのは3月21日~4月5日のほか8月1日~9日と4月~10月の三連休以上の連休及びその前日となっている。このため秋のシルバーウィークや三連休の設定のによって繁忙期の日数は大きく変わり得る。

閑散期は最繁忙期の前後に設定へ

今回の2022年4月1日JR東日本料金改定では、閑散期を拡大する。

これまで閑散期は1月16日~末日、2月、6月、9月、11月、12月1日~末日の祝日及び祝前日及び振替休日を除く月曜~木曜に設定していた。ただ今回の料金改定ではさらに拡大し、最繁忙期・繁忙期を除く4月21日~5月10日、7月1日~15日、10月1日~10日、12月21日~1月15日にも拡大することとなった。

これらの最繁忙期の設定と繁忙期の縮小・閑散期の拡大により2022年度は従来と比べ46日で値上げ、51日で値下げするとしている。ただ利用が多い日だからこそ最繁忙期を設けているのであって、利用が多い日により値上げしているのは変わりはない。つまり当初JR東日本が言っていた通年での料金徴収額が変わらないとは思えない。

そう考えると、もし多客期の移動を抑制できなかったとしても結果的に増収するように作り上げているようだ。


結び

今回の2022年4月1日JR東日本料金改定では、最繁忙期導入に伴い通常期と比べ400円加算の時期を設けたほか、繁忙期を縮小し閑散期を拡大している。

今後JR東日本でどのような料金改定を行うのか、また山形新幹線「つばさ」や秋田新幹線「こまち」の座席指定料金を今後1つの列車扱いとして行うのか、見守ってゆきたい。

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