しなの鉄道は2025年3月28日、プレスリリースにて2026年3月14日に運賃改定を行うと公表した。今回はこれについて見ていく。
初乗り240円の高額電車誕生へ!
今回の2026年3月14日しなの鉄道運賃改定では、2023年4月1日しなの鉄道乗継割引廃止以来約3年ぶりに運賃改定を行う。
詳細は以下の通り。
改定日 営業キロ(km) |
2019/10/1 消費税率改定 |
2026/3/14 | 値上げ率 |
1~3 | 190 | 240 | 26.3% |
4~6 | 230 | 290 | 26.1% |
7~9 | 240 | 310 | 29.2% |
10 | 260 | 320 | 23.1% |
11 | 260 | 320 | 23.1% |
12 | 280 | 350 | 25.0% |
13 | 300 | 370 | 23.3% |
14 | 320 | 400 | 25.0% |
15 | 340 | 420 | 23.5% |
16 | 360 | 460 | 27.8% |
17 | 390 | 480 | 23.1% |
18 | 410 | 510 | 24.4% |
19 | 430 | 530 | 23.3% |
20 | 450 | 570 | 26.7% |
21 | 480 | 590 | 22.9% |
22 | 500 | 620 | 24.0% |
23 | 520 | 640 | 23.1% |
24 | 540 | 680 | 25.9% |
25 | 560 | 700 | 25.0% |
26 | 580 | 730 | 25.9% |
27 | 610 | 750 | 23.0% |
28 | 630 | 790 | 25.4% |
29 | 650 | 810 | 24.6% |
30 | 670 | 840 | 25.4% |
31 | 690 | 860 | 24.6% |
32 | 720 | 900 | 25.0% |
33 | 740 | 920 | 24.3% |
34 | 760 | 950 | 25.0% |
35 | 780 | 970 | 24.4% |
36 | 800 | 1,010 | 26.3% |
37 | 830 | 1,030 | 24.1% |
38 | 850 | 1,060 | 24.7% |
39 | 870 | 1,080 | 24.1% |
40 | 890 | 1,120 | 25.8% |
41 | 910 | 1,140 | 25.3% |
42 | 940 | 1,170 | 24.5% |
43 | 960 | 1,190 | 24.0% |
44 | 980 | 1,230 | 25.5% |
45 | 1,000 | 1,250 | 25.0% |
46 | 1,020 | 1,280 | 25.5% |
47 | 1,050 | 1,300 | 23.8% |
48 | 1,070 | 1,340 | 25.2% |
49 | 1,090 | 1,360 | 24.8% |
50 | 1,110 | 1,390 | 25.2% |
51 | 1,130 | 1,410 | 24.8% |
52 | 1,160 | 1,450 | 25.0% |
53 | 1,180 | 1,470 | 24.6% |
54 | 1,200 | 1,500 | 25.0% |
55 | 1,220 | 1,520 | 24.6% |
56 | 1,240 | 1,560 | 25.8% |
57 | 1,270 | 1,580 | 24.4% |
58 | 1,290 | 1,610 | 24.8% |
59 | 1,310 | 1,630 | 24.4% |
60 | 1,330 | 1,670 | 25.6% |
61 | 1,350 | 1,690 | 25.2% |
62 | 1,380 | 1,720 | 24.6% |
63 | 1,400 | 1,740 | 24.3% |
64 | 1,420 | 1,780 | 25.4% |
65 | 1,440 | 1,800 | 25.0% |
66 | 1,470 | 1,830 | 24.5% |
67 | 1,490 | 1,850 | 24.2% |
68 | 1,510 | 1,890 | 25.2% |
69 | 1,530 | 1,910 | 24.8% |
70 | 1,550 | 1,940 | 25.2% |
71 | 1,570 | 1,960 | 24.8% |
72 | 1,600 | 2,000 | 25.0% |
73 | 1,620 | 2,030 | 25.3% |
74 | 1,640 | 2,050 | 25.0% |
75 | 1,660 | 2,080 | 25.3% |
76 | 1,680 | 2,110 | 25.6% |
77 | 1,710 | 2,140 | 25.1% |
78 | 1,730 | 2,160 | 24.9% |
79 | 1,750 | 2,190 | 25.1% |
80 | 1,770 | 2,220 | 25.4% |
81 | 1,790 | 2,250 | 25.7% |
82 | 1,820 | 2,270 | 24.7% |
83 | 1,840 | 2,300 | 25.0% |
84 | 1,860 | 2,330 | 25.3% |
85 | 1,880 | 2,360 | 25.5% |
86 | 1,900 | 2,380 | 25.3% |
87 | 1,930 | 2,410 | 24.9% |
88 | 1,950 | 2,440 | 25.1% |
89 | 1,970 | 2,470 | 25.4% |
90 | 1,990 | 2,490 | 25.1% |
91 | 2,010 | 2,520 | 25.4% |
92 | 2,040 | 2,550 | 25.0% |
93 | 2,060 | 2,580 | 25.2% |
94 | 2,080 | 2,600 | 25.0% |
95 | 2,100 | 2,630 | 25.2% |
96 | 2,120 | 2,660 | 25.5% |
97 | 2,150 | 2,690 | 25.1% |
98 | 2,170 | 2,710 | 24.9% |
99 | 2,190 | 2,740 | 25.1% |
100 | 2,210 | 2,770 | 25.3% |
101 | 2,230 | 2,800 | 25.6% |
102 | 2,260 | 2,820 | 24.8% |
103 | 2,280 | 2,850 | 25.0% |
今回のしなの鉄道運賃改定でおかげさまで初乗り240円の高額鉄道が誕生する。
これにより税抜賃率は20.05円/kmから25.07円/kmに25.0%値上げすることとなった。
北陸新幹線転換第三セクターであるえちごトキめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、ハピラインふくいの各社が軒並み税抜賃率18円/km~20円/km程度であることを踏まえると、明らかに割高である。
この運賃改定で定期外は25.1%、通勤定期は13.9%、通学定期は5.0%値上げすることとした。定期外は物価上昇の2020年から2024年の20%をはるかに上回る運賃値上げであるし、通期定期も14km近距離では伊那の近距離ではほとんどの区間で20%以上の値上げとかなり割高である。
そもそも鉄道運賃上限認可は鉄道運賃のむやみな値上げを防止し市民生活を守るためのものなのに、物価以上に値上げしてはいけないだろう。
なおこの運賃改定に合わせしなの鉄道ではICカード(おそらくSuica)を全駅で導入する。ただIC運賃の申請がないことからどうやら10円単位運賃となるようだ。
このほか同日2026年3月14日にはJR東日本も運賃改定を実施、しなの鉄道の電車が乗り入れる信越本線長野~篠ノ井間はきっぷ運賃で一律10円値上げとなる。
長野発着では3年ぶりの値上げで40%以上も値上げへ!
しかも今回の2026年3月14日しなの鉄道ダイヤ改正はこれだけの値上げではない。
しなの鉄道の列車は原則長野駅まで乗りりえているが、長野~篠ノ井間はJR東日本線である。JR東日本は運賃は安めではあるが乗り継ぐと割高になっていたため原則40円、最大80円の乗継割引運賃を設定していた。がこの乗継割引運賃を2023年3月31日運賃改定で廃止してしまったのである。
このため利用の多い長野~屋代間では2023年3月31日まで350円だったところ、2023年4月1日に乗継割引を廃止し430円に、2026年3月14日以降は500円となるのである。2020年から2024年の間に物価は約20%上がっているが、長野~屋代間では42.8%も値上げするのである。
この14.5kmはJRの中で一番高いJR北海道でも360円、大手私鉄の中で一番高い近畿日本鉄道ですら400円、もし全線しなの鉄道扱いなら420円のところ、長野~屋代間は500円も取られるのである。高すぎないか。
また長野~屋代間の通勤定期1か月は2023年3月31日時点と2026年3月14日時点を比べると11,840円から16,340円に38.0%も値上げする。値上げしすぎではないかしなの鉄道。
まあ長野から飯山線方面は長野~豊野間のしなの鉄道北しなの線で60円値上げ、豊野から先JR飯山線方面最低10円値上げにより70円以上の値上げとなるが、長野~飯山間でも2023年3月31日まで550円だったところ2026年3月14日以降670円に21.8%の値上げとなる。飯山線方面に関してはおおむね物価上昇に比例した値上げとなりそうなので、致し方ないと言えるだろう。
ここまでの大幅な値上げの背景に相互乗り入れ化による車両使用料収入減少か!
ではなぜ2026年3月14日しなの鉄道運賃改定ではここまで大幅な値上げを行うのだろうか。
しなの鉄道では115系3両編成16本および2両編成7本の置き換え目的として2020年より新型車両SR1系を順次投入するとしている。2028年度までに投入し2両編成23本をそろえるとしている。つまり115系3両編成はすべて2両編成に減車することとした。
が、しなの鉄道線列車は原則JR東日本管内長野まで乗り入れており、その全列車をしなの鉄道の保有する車両で運転している。しなの鉄道区間よりも県庁所在地の近いJR東日本管内篠ノ井~長野間の方が利用者が多いのでしなの鉄道線内には必要のない車両まで他社のしなの鉄道が用意しているのだ。この無駄を省くためしなの鉄道では115系からSR1系への車両更新に際しすべての3両編成を2両編成に減車するとした。
がそれでは朝夕を中心にJR東日本管内篠ノ井~長野間で運びきれないため、JR東日本では2026年下半期以降新型車両E131系の長野県内への導入に際ししなの鉄道直通電車分も2両編成2本~3本程度用意する可能性が高い。ドア数が異なるだろうがそれ以外はしなの鉄道SR1系とほぼ共通設計なので運転士の操作性にほとんど違いはないし連結まで可能だ。しなの鉄道の車両による長野までの片乗り入れからJR東日本E131系を使ってしなの鉄道線と相互直通運転を行うのではないか。
ただこれまでしなの鉄道車両による片乗り入れだったために車両使用料としてJR東日本からしなの鉄道への支払いがあったが、車両更新を機にJR東日本E131系がしなの鉄道線内戸倉や上田まで乗り入れるようになるとJR東日本から車両使用料がもらえなくなる。その車両使用料減収分を物価を超えた運賃値上げで補填しようとしているのではないだろうか?
結び
今回の2026年3月14日しなの鉄道運賃改定では、普通運賃を約25%値上げ、通勤定期も14km以内のほとんどの区間で20%超の値上げとするなど物価を超えた大幅な値上げを行う見込みだ。
今後JR東日本E131系の乗り入れ予定もある中しなの鉄道でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
関連資料 – 旅客運賃の上限変更認可申請について – しなの鉄道
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