EX旅パックのJR東海ツアーズずらし旅で東海道新幹線の旅行商品囲い込みか! 増収ねらうJR東海の旅行商品戦略!

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EX旅予約のJR東海ツアーズずらし旅で東海道新幹線の旅行商品囲い込みか! 増収ねらうJR東海の旅行商品戦略!

JR東海はエクスプレス予約の新商品として新幹線とホテルがセットのEX旅パックを2023年10月1日から展開している。今回はこれについて見ていく。

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予約しても乗車4分前まで列車変更可能な旅行商品開発へ!

JR東海が運営する東海道新幹線は東京、名古屋、京都、新大阪を結ぶ日本の鉄道大動脈である。このため各旅行会社が多数の旅行商品を取り扱っている。

ただこれらの東海道新幹線のきっぷをJR東海以外の旅客鉄道各社や旅行会社のマルスで発券するとJR東海は旅行会社に3~5%の発券手数料を支払わなければならず、その負担が重くのしかかっていた。ぷらっとこだまや東海道新幹線専用TEXきっぷから始まる東京都区内や大阪市内などの特定都区市内が効かないJR東海ツアーズまたはJR東海JR全線切符うりばや指定席券売機専用商品の発売は発券手数料をJR他社にとられないための政策である。

その後1998年3月に自動改札機を全駅で設置完了した東海道新幹線では2001年9月3日に専用クレジットカードによる会員制予約サービスエクスプレス予約を開始、年会費が1,100円かかっていたが年会費徴収と会員の発券手数料分を他社に奪われないために増収に成功する。




その後さらに囲い込みを図っるため一部の手持ちのクレジットカードで登録できるプラスEXを2012年10月9日に提供開始、2017年9月30日にはほとんどのクレジットカードで登録可能な会費無料のスマートEXを提供開始した。スマートEXは普通車指定席とグリーン車は200円引きではあるが、東京都区内や大阪市内などの特定都区市内が効かないため割高になることが多い。にもかかわらず東海道山陽新幹線の相互駅でしか利用できないことや乗車4分前まで予約変更なことから操作性のかんたんさにつながりスマートフォンからの予約が急増、東海道新幹線の利用者の3割以上がエクスプレス予約やスマートEXなどのJR東海が発売するネット予約によるものとなる

ただ東海道新幹線の利用客はそのすべてが駅や券売機できっぷを買って乗っているわけではない。それが旅行商品である。

旅行商品とは一般に交通機関と宿泊がセットになったものである。旅行会社が企画しセット販売をすることで発券や予約の手間を減らすことができる。2000年ごろまでのパソコンが家庭に十分に普及していない時期には各旅行会社の旅行商品が大活躍していた。

JR東海では昼間に空席ができやすいことから、11時00分~15時59分までに出発する新幹線のきっぷを契約券として旅行会社に格安で販売していた。この格安契約券による減収を抑えるため、2023年10月1日に新幹線と宿泊の新サービスEX旅パックを発売するに至ったのである。




乗車列車替え放題、列車制限もゆるいので他社旅行会社から旅客を奪い取りへ!

2023年10月1日から発売しているEX旅パックでは、東海道新幹線と宿泊をセット販売している。発売は東海道新幹線を運営するJR東海の子会社JR東海ツアーズと山陽新幹線を運営するJR西日本の関連会社日本旅行に限られている。

その主な柱はEXダイナミックパックとずらし旅である。

まずEX旅パックの最大の特長は、乗車4分前まで新幹線を変え放題であること。旅行会社に発売する契約乗車券とちがい列車限定ではないので旅行の自由度が大幅に上がるのだ。

また列車制限時間帯も緩い。ほかの旅行会社ではより安く新幹線に乗れるのは11時00分~15時59分に出発する列車に限られるが、東海道山陽九州新幹線限定商品のJR東海ツアーズと日本旅行のEXダイナミックパックでは6時00分発~7時29分発と9時30分発~17時29分発、19時30分発以降に出発する列車でほかの時間帯より安く新幹線に乗車できる。両社とも同じホテルであれば価格はあまり変わらないが、他社旅行会社では列車限定かつ5時間しかお得な時間帯がないのにJR東海ツアーズや日本旅行のEX旅パックでは安く移動できる時間帯が14時間もあり幅が広いのだ。




また東海道新幹線限定商品ずらし旅は他の旅行会社でも発売しているが、他社では列車限定で1日当たりで設定している列車は片道当たり5本程度しかなく非常に列車制約が大きいが、JR東海ツアーズずらし旅に至っては6時00分発~9時29分発と10時30分発~18時29分発、19時30分以降に出発する列車で予約可能なのである。そもそもずらし旅は空いている時間帯で旅行することも含まれているのに、新幹線営業時間帯18時間中16時間で予約が可能なのである。先述のEXダイナミックパックや各旅行会社商品とほぼ同額なのにもかかわらずほぼ予約し放題だし予約できない時間帯も1時間程度しかないとかなり破格なのだ。しかもこのJR東海ツアーズのずらし旅、2024年4月発売分から列車制限を減らしており18時間中14時間から選べるものが18時間中16時間にまで拡大している。

さらに各旅行会社では旅行商品を注文するときっぷを物理的に受け取る必要があるため各旅行会社に行くか郵送で届ける必要があり、人件費または郵便代がかかるし旅客視点でもきっぷを当日もっていかなければならない。が、JR東海ツアーズおよび日本旅行のEX旅パックなら手持ちの交通系ICカードを利用できるため受け取りや郵送の必要がないしいつも通りのICカードで東海道新幹線に乗降できるのである。

しかもずらし旅はEXダイナミックパックや各旅行会社商品とほぼ価格が変わらないのに2,000円相当の現地特典付きである。おいおい、東海道新幹線の家族旅行・個人旅行ならもはやJR東海ツアーズのずらし旅一択やろこれ。

ということで日本で一番旅行会社発券が多い東海道新幹線の旅行商品をJR東海ツアーズが囲い込み、他旅行会社は利用が減っているのである。

余談だが旅行会社の昼間の安い新幹線限定列車やEXダイナミックパックの安い時間帯、ずらし旅は原則普通車指定席2割引き、グリーン料金加算分は4割引きとなっているほか、旅行会社やEXダイナミックパックの安くない時間帯では普通車指定席は1割引き、グリーン料金加算分も1割引き程度となる。なお「のぞみ」が全車指定席となるゴールデンウィークやお盆、年末年始は無割引で、ずらし旅の発売はない。




東海道新幹線の秋の値上げで一応旅行会社に肩を持たせるJR東海

ただJR東海が肩を持たせていることがある。それが2023年4月1日からの最繁忙期導入によるシーズン区分変更だ

1984年より特急列車は混雑目安に合わせて混雑しやすい時期を200円増しの繁忙期、平日のうち空いている時期を閑散期200e円引きとしていた。が、このシーズン区分は35年以上も変わっていなかったため、紅葉シーズンの10月・11月が通常期または閑散期となっていたのだ。そこで東海道新幹線を運営するJR東海では多客期を中心に400円増しの最繁忙期を導入するのに合わせ、10月中旬~11月末までの金土日祝日を繁忙期に、月曜~木曜を通常期に変更し各200円ずつ値上げしたのである。

これで割を食うのが高校生などの修学旅行である。京都への修学旅行は主に秋の紅葉シーズンである10月~11月であるから200円の値上げを図ることができる。

また旅行会社は手数料を最大20%徴収している。新幹線が往復400円値上げとなれば旅行会社は手数料20%で1人当たり80円、10%でも40円の増収となる。修学旅行は100人は越えるだろうから、100人なら手数料10%でも4,000円、500人なら2万円の増収になるのである。それが何百校とあつまれば旅行会社は数百万の増収になるのだ。

さらにもし東海道新幹線が最高速度を300km/hに引き上げのぞみ新幹線特急料金を値上げできれば、その分旅行会社の手数料徴収も増やすことができる。

そう考えるとJR東海は紅葉シーズンに値上げすることで自社の売り上げを上げつつ旅行会社の手数料収入を増やすことで団体旅行は各旅行会社、家族旅行や個人旅行は自社子会社のJR東海ツアーズずらし旅を利用させることですみわけを図ろうとしているのではないだろうか。


結び

2023年10月1日から導入したJR東海ツアーズのEX旅パックおよびずらし旅では、東海道新幹線を利用した家族旅行・個人旅行商品を囲い込むことで他社発券手数料を抑えて増収を図っている。

今後JR東海が東海道新幹線を使ったサービスでどのような商品を買う発していくのか、見守ってゆきたい。

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