全国で最繁忙期導入で指定席やグリーン車・グランクラスも値上げへ! JR旅客各社新幹線・特急料金改定(2023年4月1日)

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全国で最繁忙期導入で指定席やグリーン車・グランクラスも値上げへ! JR旅客各社新幹線・特急料金改定(2023年4月1日)

JR東海は2021年10月26日、プレスリリースにて2023年4月1日に新幹線及び在来線特急料金を改定すると公表した( シーズン別の指定席特急料金の見直しとグリーン車等への適用について )。今回はこれについて見ていく。

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最繁忙期400円増を全国で導入へ!

今回の2023年4月1日JR旅客各社料金改定では、JR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州の6社で料金改定を行う。

まずは最繁忙期の導入。JR旅客6社の新幹線・特急列車の普通車指定席は乗車日によって通常期・繁忙期(200円増)・閑散期(200円引)に分かれている。JR東日本およびJR北海道のうち北海道新幹線、JR西日本のうち北陸新幹線では2022年4月1日より最繁忙期400円増を導入しているが、今回の料金改定でJR東海・JR西日本・JR四国・JR九州の4社の在来線特急を含めほとんどの新幹線・特急列車で導入する。

ただ、JR東日本が2022年4月1日に導入した最繁忙期と今回2023年4月1日よりJR東海などJR旅客4社が導入する最繁忙期では実施日がやや異なる。

JR東日本では新幹線回数券などの使用できない多客期をそのまま400円増の最繁忙期として設定した。が、今回JR東海などJR旅客4社が導入する最繁忙期では、多客期であっても400円増最繁忙期のほか200円増の繁忙期、1月1日に至っては通常期として設定する。もっとも1月1日は著距離移動の少ない日のため臨時列車の設定をほとんどしないほか、割安な元日限定きっぷを売り出すほどであるから周囲の日と比べて割安な料金設定として誘導を図りたいのだろう。もっとも在来線特急ではあまり効果はないだろうが、東海道新幹線ともなれば「のぞみ」の利用者が多いほか最大毎時12本設定できる運転本数を細かに調整できるので乗務員行路の適正化という点では有用だろう。




ただ、そんな1日単位で200円増や200円引を気にする旅客が普通車指定席に乗るだろうか?そんなことをするくらいなら通年同額の早特各種のネット予約や通常期普通車指定席の530円引の普通車自由席に乗った方がよっぽど安いだろう。そう考えると今回の最繁忙期・繁忙期・閑散期の導入の主目的は一般旅客への値上げではない。

そうなると今回の最繁忙期導入の目的は主に2つ。1つは旅行会社などに発売する契約乗車券の発売額を変更すること。契約乗車券は割安な料金設定だが、繁忙期や閑散期に1席当たり200円を超える大きな差額を設けることができる。今回の最繁忙期の設定や行楽シーズンの10月や11月の土休日に繁忙期を設定することで、旅行会社に発売する契約乗車券の単価を行楽シーズンに引き上げることができる。

もう1つが修学旅行である。修学旅行は必ず指定席を取る必要があるし、専用列車ともなればグリーン車分も加算が必要となることもある。これらは団体割引乗車券のほかに人数分の指定席特急券も必要となる。

特に行楽シーズンの11月の月曜~木曜が一番割安な閑散期から通常期になることで200円増になることから、人数分×200円の追加料金が必要となる。

そうなると、学校側は極力安い時期に修学旅行を設定したがるため、この人数分×200円の値上げがないを選びたがる。そう考えると、今回の最繁忙期の設定や繁忙期の時期変更は修学旅行に大きく響きそうだ




となると、今回の最繁忙期の導入や繁忙期の目的は、1契約単位で大きく人が動く契約乗車券や修学旅行乗車券の多客や行楽シーズンの値上げにより移動してもらうことだろう。

では行楽シーズンとは何か。今回の繁忙期の設定を見るに、10月~11月の紅葉シーズンのようだ。紅葉シーズンで混むのは1に京都、2に広島であるが、東京名古屋大阪の三大都市圏から行きやすいのは広島より京都であることから行楽シーズンには京都発着の需要が多い。そして京都に向かうのによく使われるのが東海道新幹線である。

そう考えると今回の最繁忙期・繁忙期・閑散期の設定は東海道新幹線の東海道新幹線の東海道新幹線のための料金設定であって、山陽新幹線は多少のメリットはあるかもしれないがそのほかの列車はついでに設定するようなものだろう。




グリーン車・グランクラス・寝台にも最繁忙期・繁忙期・閑散期導入へ!

今回の2023年4月1日JR旅客各社料金改定では、JR旅客6社で通年同額だったグリーン車にも400円増の最繁忙期・200円増の繁忙期・200円引の閑散期を導入する。

なおグリーン料金にはグリーン個室や東北・上越・北陸新幹線のグランクラス、DXグリーン車や特急「サフィール踊り子」のプレミアムグリーン車も含まれる。このことから、これらの座席を利用する際にも400円増の最繁忙期・200円増の繁忙期・200円引の閑散期を導入することとなる。

なお通年で普通車指定席料金が同額の列車は引き続きグリーン車は通年同額となる。つまりグリーン車利用時の料金は乗車日の普通車指定席料金から530円引きした額にグリーン料金を加算したものとなる

もっともグリーン車やグランクラスを利用する客層は金銭的に余裕がある方が多いので、400円値上げしたところでほとんど気にしない。そう考えればグリーン車・グランクラスの値上げにより利用客が離れることはないだろう。

このほか寝台特急「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」などに連結している各種寝台にも400円増の最繁忙期・200円増の繁忙期・200円引の閑散期を導入する。




普通車自由席は認可の関係上通年同額を維持へ

今回の2023年4月1日JR旅客各社料金改定では、普通車自由席には最繁忙期や繁忙期・閑散期は導入せず、通年同額を維持する。

これは新幹線自由席特急料金の上限変更には国土交通省の認可が必要で、その認可書類を鉄道会社ごとに提出しなければならず煩雑な書類を作成する必要があること、各鉄道会社ごとに本年度の推測分を含む過去3年分の収支の提出が必要でありかつ事実上過去3年分の通算赤字を証明しなければならないことから、通算3年間で黒字見込みのJR東海が認可を受けられない可能性が高いためである。

このため今回は収支と関係なく最低紙2枚の届け出だけで済ませられる座席指定料金・グリーン料金・寝台料金の時期別料金の変更に留めたのである。

これにより最繁忙期には普通車指定席よりさらに割安となる自由席に人が集まりやすくなってしまうため本来であれば自由席にも400円増の最繁忙期・200円増の繁忙期・200円引の閑散期を導入すべきなのだし、自由席は現在では有効期限が1日で乗車日指定ができるため実務上可能であるのだが、2014年4月1日まで有効期限が2日間であったことから国鉄時代は導入可能だったことから国鉄時代を踏襲した現行の料金制度では普通車自由席の400円増の最繁忙期・200円増の繁忙期・200円引の閑散期の導入ができていない。

もっとも1,000円以内で利用できる特定特急料金区間は通年同額の方がよいだろうが、東京~福島・静岡くらいの中距離以上は普通車自由席にも最繁忙期・繁忙期・閑散期を設けるべきだろう。

新幹線特急料金の上限変更に認可が必要なのは高速鉄道シェアを独占しているJR旅客各社が不正な料金つり上げを行えないように極力低廉な料金設計にするためであるためであるため、新幹線特急料金の上限変更を最低紙2枚で済ませられてしまう届出に簡素化することは適策ではない。

そうなると最繁忙期・繁忙期の指定席座席指定料金やグリーン料金の変動料金時に普通車自由席の料金変動を自由に行えないのは認可届出における欠陥と言えるだろう。この欠陥を補うためには、自由席時期変動料金制度なるものを導入して、50km超の区間において500円までの普通車自由席への時期別値上げを届出のみで行えるように制度改正を図るべきではないだろうか。


結び

今回の2023年4月1日JR旅客各社料金改定では、最繁忙期が全国に拡大するほか、グリーン車やグランクラスにも最繁忙期を導入することとした。

今後山陽新幹線「のぞみ」を含む特急料金値上げや乗継割引の縮小などの増収を図るJR旅客各社が今後どのような料金制度を取るのか、見守ってゆきたい。

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