羽田空港・成田空港発着で運賃値上げへ 京急電鉄・京成電鉄・都営地下鉄空港連絡特殊割引廃止に伴う運賃改定(2023年10月1日)

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羽田空港・成田空港発着で運賃値上げへ 京急電鉄・京成電鉄・都営地下鉄空港連絡特殊割引廃止に伴う運賃改定(2023年10月1日)

京急電鉄・京成電鉄・東京都交通局は2023年5月10日、プレスリリースにて2023年10月1日に空港連絡特殊割引を廃止すると公表した( 「空港連絡特殊割引」の廃止に関するお知らせ )。今回はこれについて見ていく。

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28年ぶりの運賃改定も遠距離で値下げへ!

今回の2023年10月1日京急電鉄・京成電鉄・都営地下鉄運賃改定では、羽田空港・成田空港発着に関わる運賃割引を廃止する。

この空港連絡特殊割引は、羽田空港から都営線方面への利用は50円引き、成田空港から都営線方面への利用は60円引き、羽田空港と成田空港の相互間利用は80円引きとなっている。が、そもそもこれらの空港連絡特殊割引運賃制度を設定したのは、新線開業にかかる加算運賃を京急羽田空港側で170円、京成成田空港側で120円も設定しており、その運賃の高さを所以に敬遠されることを防ぐためである。

が、2010年7月17日に京成成田空港線が開業し成田空港線には成田空港発着の加算運賃を設定しなかったこと(ただし加算運賃120円込みの本線経由よりは高い)、2019年10月1日京急電鉄運賃改定で羽田空港加算運賃が170円から50円に120円も値下げしたことから空港連絡特殊割引の意義が薄れてしまった。

そこで今回の2023年10月1日運賃改定で羽田空港発着と成田空港発着にかかわる空港連絡特殊割引運賃制度を廃止することとしたのである。




そもそも空港利用者は出張目的か観光客なので高い運賃になっても払うし、もっとも京急電鉄と京成電鉄は民間企業なので増収のために値上げするのはわかる。ただ、都営地下鉄は京急や形成までのアクセスとしてJR東日本や東京メトロと競合している。つまり羽田空港に行くにはJR東日本各線で品川乗り換え京急利用が使えるし、成田空港に行くには東京メトロ半蔵門線押上乗り換え形成利用も使えるのだ。もっともこれまでは都営地下鉄から羽田空港・成田空港へ行く際に50円~60円に割引があったため都営地下鉄利用の方が安く済むことが多かったが、この空港連絡特殊割引がなくなることで基本運賃が安いJR東日本や東京メトロ利用の方が安くなる。

そう考えると今回の空港連絡特殊割引の廃止は都営地下鉄にとっては不利だ。都営地下鉄分30円割引だけでも残しても良かったのではないだろうか。

まあ都営地下鉄各駅では4月~5月の大型連休や8月のお盆、12月~1月の年末年始に羽田空港往復きっぷを発売している。京急電鉄の羽田空港加算運賃大幅値下げに伴い2019年12月以降大人900円となっているが、この際に大人1,000円に戻して発売しても良いだろう。ただ、こどもは京急電鉄のこども運賃一律75円化に伴い、加算運賃のある羽田空港発着は100円まで値下げするため、こどもの羽田空港往復きっぷは発売する理由が薄いし、発売しても300円程度となりそうだ。

なお都営地下鉄~京成線経由~北総鉄道の乗継割引運賃30円~40円引きは引き続き維持する。




京成電鉄、運賃値上げ2023年内に実施せず

また今回の2023年10月1日京急電鉄・京成電鉄・都営地下鉄運賃改定で明らかになったことは、同日に京成電鉄や都営地下鉄で運賃改定を行わず据え置くことである。

京成電鉄と直通運転を行う京急電鉄や新京成電鉄では2023年10月1日に運賃改定を行うため、これに合わせて運賃表の改修を行えば低コストで運賃改定作業を行えるのだが、京成電鉄と東京都交通局は両社で見送る形となったのだ。

つまり京成電鉄や東京都交通局では鉄道駅バリアフリー料金制度を含め2023年内の運賃値上げを一切行わないことになる。もっとも東京都交通局は公営地下鉄であることから、鉄道駅バリアフリー料金制度を導入した公営地下鉄はなく地下鉄運賃の値上げを行った事業者もないため運賃を値上げしなくても不思議ではないのだが、京成電鉄は民間鉄道事業者にも関わらず基本運賃値上げも鉄道駅バリアフリー料金制度による値上げも実施しなかったのである




もっとも京成電鉄でも2023年10月1日に運賃改定を行うという構想はあっただろうが、断られた理由はいくつかある。

1つは、2010年7月17日に京成成田空港線が開業して老いること。2022年以降の各社の運賃改定は多くの鉄道会社で25年以上ぶりの運賃改定となっているが、この25年の間に路線網はあまり拡大していない。しかし京成電鉄では2010年7月17日に京成成田空港線を開業したことにより京成上野・日暮里・都営地下鉄各方面から成田空港発着の運賃を値上げしたほか、所要時間短縮による乗客増により増収を図ることに成功している。このため事実上3年間の赤字見込みが計上できずに運賃改定に至れなかった可能性がある。

次に、京成電鉄には運賃表がエリア別に3種類ある。京成本線系統の運賃表のほか、旧千葉急行電鉄を併合した名残で千原線の運賃表を別途用意しているほか、2010年7月17日に開業した京成成田空港線は北総鉄道区間を含むこともありさらに新たな運賃表を設定した。これにより京成津田沼や高砂などそれぞれの運賃境界をまたいだ場合それぞれに初乗り運賃がかかる。

国土交通省では同一社内では単一運賃表を用いることを原則としている。もっとも新線開業に伴う加算運賃など一部区間で上乗せすることは可能だが、完全打ち切りで別の運賃表を初乗り運賃から適用するのは原則認められない。運賃改定する際にはその是正を図るように指導を受けている可能性は高い。

そう考えると、2023年内に大手私鉄で唯一京成電鉄だけ運賃を改定しない見込みとなりそうだ。

(2023.5.18 追記)京成電鉄は2024年春より鉄道駅バリアフリー料金一律10円値上げを実施する見込みとなった。関東の鉄道会社は鉄道駅バリアフリー料金の導入を2023年3月18日に行っていることを考えると、当初から鉄道駅バリアフリー料金にしたかったわけではどうやらなさそうだ。おそらく基本運賃の値上げを模索していたが、国土交通省から却下されてしまったがために仕方なく鉄道駅バリアフリー料金による一律値上げとするのだろう。


結び

今回の2023年10月1日京急電鉄・京成電鉄・都営地下鉄運賃改定では、羽田空港・成田空港発着に関わる運賃割引を廃止することとなった。

今後京成電鉄・都営地下鉄でどのような運賃改定を実施するのか、見守ってゆきたい。

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