東京から品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪へと向かい、半分程度の列車がその先新神戸、岡山、広島、小倉、博多へと乗り入れる東海道新幹線のぞみ号。
ただ所要時間には差があり、深夜を走る新大阪21時24分発東海道新幹線「のぞみ64号」東京行きは、新大阪→東京間を最速の2時間21分で走破します。
ただしこの東京行き最終「のぞみ64号」、博多始発で運転するため遅れるリスクが新大阪始発より高いほか、終電接続の兼ね合いもあり安易に遅れることはできません。
このためこの東京行き最終「のぞみ64号」を運転するにあたり、東海道新幹線を運営するJR東海ではさまざまな対策を行っています。
それらも踏まえて東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終の楽しみ方について解説しましょう!
実は265km/hまでしか出ていない!?東海道新幹線のぞみ号が遅い理由はこちら!
そもそも東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終列車は東海道新幹線で一番速い列車!
東海道新幹線のぞみ号は、JR東海の運転する看板列車です。
東海道新幹線のぞみ号はたいてい東京~新大阪間を2時間27分~2時間30分で運転しますが、その中でも東京行き最終「のぞみ64号」は標準運転時分より6分短い2時間21分で走破します。
東海道新幹線の最高速度は285km/hとしていますが、昼間の列車は列車間隔が詰まりすぎて265km/hまでしか出せない一方で、東京行き最終「のぞみ64号」は282km/hを平気で出します。要は東海道新幹線で一番早い列車です。
しかも東海道新幹線では線内44か所に点在するR2500カーブでは275km/hまでしか出せないことから、カーブでは275km/hまで減速しながら直線区間やそれよりゆるいR3000カーブでは282km/hで突っ走ります。つまり「のぞみ64号」は加減速が一番多い列車なのです!カーブもあいまってもはや陸を走るジェットコースターと言っても過言ではありません!
このためさまざまな加減速に耐えられるよう東京行き最終「のぞみ64号」には最新型車両N700Sが運用に就くことがきわめて多く、運用がほぼ固定されています!最新型車両N700Sは全席コンセント設置ですから、乗客利便性も高くなっています。
ただ東京行き最終ということもあり、新横浜・品川・東京の各駅からの最終連絡対策もギリギリで遅れようものなら接続解除の可能性もあることから、この東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終を運転するにあたり様々な注意を払っています。
車掌が2人ではなく4人体制!
まず、東海道新幹線東京行き最終「のぞみ64号」は、新大阪→東京間で車掌が4人体制となっています。
東海道新幹線を運営するJR東海では、2018年3月より車掌は1列車あたり2人としています。が、東京行き最終「のぞみ64号」は遅延時の最終接続確認用に車掌を倍の4人も乗務させています!
もっとも遅れなければいいんです。遅れなければ。
ただ東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終はそこそこに遅れます。過去5回乗ったうち3回は2分以上遅延しました。
そこでここからは遅延時にしか見られない東海道新幹線「のぞみ64号」の楽しみ方についてご紹介いたします!
遅延の遅れを取り戻すために284km/h運転!
まず遅れた場合、定刻運転に戻すべく回復運転による遅延回復を行います。
先述したように東海道新幹線の最高速度は285km/hですが、日本の鉄道では1km/hでも超過したら処分の対象ですから、列車運転時刻を策定するにあたり最高速度と同じ285km/hを基準に作るはずがなく、「のぞみ64号」東京行き最終も282km/h運転を上限に運転時刻を作っています。
が、なにかしらの理由で遅延した場合、遅延を1分でも取り戻すため回復運転と呼ばれる運転時刻策定ダイヤより速い速度で運転します。
このため東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終は遅延時は284km/h運転と最高速度に近い速度で運転し、最速2時間18分運転を行うのです!
しかも東海道新幹線は他新幹線と比べカーブが多くなっているほか、R2500カーブでは275km/h以下に減速し直線区間で再加速必要があることに変わりはありません。
このため東海道新幹線「のぞみ64号」が遅延した際には陸を走るジェットコースター気分がなおさら味わえるというわけです!
最終列車接続との確認のため車掌が車内を駆け巡る!
また東海道新幹線「のぞみ64号」東京行きは、各方面への終電接続も図る必要があります。
実際2025年時点で、東京24時01分発総武快速千葉行き最終、東京24時05分発京葉線各駅停車蘇我行き最終が当たります。「のぞみ64号」東京行きは23時45分着で、総武快速への標準乗換時間は15分、京葉線への標準乗換時間はは20分としていますから、「のぞみ64号」が遅れた場合発車待ち旅客を乗せたことを確認してから発車します。
遅延時にはこの乗継旅客の有無を確認するため、「のぞみ64号」車内では名古屋→新横浜間を走行中に総武線快速や京葉線終電への乗り継ぎ客を確認しに車掌が車内を駆け巡ります。この時の車掌の形相は緊張感にあふれています。1分や2分程度の遅延であればまあ乗り換えられるので問題はないのですが、5分遅れた暁には血相を変えて探し回ります。
この終電接続把握のために車掌を4人も配置しているのです。
なおこの終電接続範囲は2021年3月13日JR東日本ダイヤ改正で大きく縮小しています(かつては東京接続常磐線取手行き、青梅線青梅行き、新横浜接続横須賀線久里浜行きも範囲だった)。以前と比べればマシと言えるでしょう。
なぜ東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終は遅れやすいのか
ではなぜ東海道新幹線「のぞみ64号」最終は遅れやすいのでしょうか。
まず、先述したように新大阪→東京間を最速の2時間21分で運転するほか、博多→新大阪間でも最速の2時間21分で走破します。このため余裕時分の設定がほとんどなく、回復運転をしても博多→新大阪間で最大3分、新大阪→東京間で最大3分しか遅延回復できません。このため一度遅れてしまうとなかなか遅れを取り返せません。
また東海道新幹線「のぞみ号」はどんなに待っても20分待てば来るので、たいてい在来線列車の遅延については取り扱わず新幹線原因の遅延のみを拾い、在来線列車が遅れた場合は後続の新幹線に振替させます。
ただ、「のぞみ64号」は東京行き最終ですから、他在来線特急列車からの接続待ちも行います。もっとも乗り換え時間に20分程度余裕を設けることで在来線特急が10分遅延しても定時運行を行えるようにはしていますが、それ以上遅れた場合「のぞみ64号」東京行きが待ちます。実際日豊本線特急「ソニック50号」博多行きが遅延した際に、「のぞみ64号」は小倉駅を16分遅れで発車、東京駅まで10分遅延で運転したことがあります。この接続待ちを行うため東海道新幹線「のぞみ64号」東京行きは遅れやすいのです。
東海道新幹線「のぞみ64号」は遅延しやすいがその分速い!
東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終は所定では新大阪→東京間を2時間21分で運転しますが、遅延していた場合新大阪→東京間最速2時間18分で運転するジェットコースターと化します。
みなさんも機会があれば東海道新幹線「のぞみ64号」東京行き最終を利用してみてはいかがでしょうか?
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