JR北海道の運賃で鉄道事業法違反疑い! 札沼線札幌~当別間で認可より高い運賃を徴収し110円ぼったくりか!

  930回閲覧

JR北海道札沼線の運賃で鉄道事業法違反疑い! 札幌~当別間で認可より高い運賃を徴収か!

JR北海道は2024年6月28日、プレスリリースにて2025年4月1日に運賃改定を行うと公表した。今回はこの問題点について見ていく。

2025年4月1日JR北海道運賃改定はこちら!

JR北海道運賃変遷はこちら!

2024年鉄道バス運賃料金改定まとめはこちら!

狭まる幹線と地方交通線の格差とついていけない換算キロの改定

今回の2025年4月1日JR北海道運賃改定では、2019年10月1日運賃改定以来約5年6か月ぶりに運賃改定を行う。

今回の運賃改定では幹線は200kmまで1kmあたり税抜19.70円から21.16円に、地方交通線は1kmあたり税抜21.60円から23.11円にそれぞれ値上げすることとなった。

JR北海道では1980年の路線別輸送密度を基に幹線と地方交通線に分類しており、地方交通線には割高な賃率を採用している。幹線のみを利用する場合は幹線運賃表、地方交通線のみを利用する場合は地方交通線運賃表に当てはめて運賃を算出するが、幹線と地方交通線をまたぐ際には地方交通線区間の営業キロを1.1倍にして換算キロとして計算、合計距離を幹線運賃表にあてはめて算出している。これは全線地方交通線として算出すると割高となるためその救済措置ともいわれている。

ただこの換算キロが営業キロの1.1倍としているのは地方交通線が幹線運賃の1.1倍であるという前提から成り立っているものである。

JR北海道のこれまでの幹線と地方交通線の換算割合は以下の通り。

JR北海道幹線と地方交通線の換算割合
時期 幹線賃率 地方交通線賃率 地方交通線/幹線
1987年4月1日~1996年1月19日 16.20円 17.80円 1.099倍
1996年1月20日~2019年9月30日 17.85円 19.60円 1.098倍
2019年10月1日~2025年3月31日 19.70円 21.60円 1.096倍
2025年4月1日~ 21.16円 23.11円 1.092倍

このように地方交通線の換算キロを設定した当初は地方交通線/幹線が1.099倍としており、換算キロの1.1倍相当距離に合わせた。が、その後の運賃改定でどんどん幹線と地方交通線の賃率が狭まり、2025年4月1日以降は1.092倍にまで縮まる。

そもそも換算キロとは地方交通線の賃率割増を距離相当に置き換えることである。このため地方交通線/幹線比率が下がっている今、国土交通省に上限認可を取っていない賃率での運賃設定は鉄道事業法違反となるため換算キロもすべて振りなおして同じ倍率にしないとならない

ただJR北海道では換算キロの振り直しを行ったことは一度もない。もっともそれでたまたま同じ運賃帯となりたまたま同額であれば何ら問題ないのであるが、そうなっていない区間があるのである。

そこで今回は運賃改定認可外の鉄道事業法違反の疑いがもたれている区間について紹介しよう。




幹線と地方交通線をまたいだ場合に全線地方交通線運賃を適用した方が安い区間の存在

まずは幹線と地方交通線をまたいだ時のバグである。

学園都市線札幌~当別間は道庁所在地と町の代表駅を結ぶ区間で直通列車も多数運転している区間であるが、札幌~桑園間は幹線の函館本線、桑園~当別間は地方交通線の札沼線となっている。幹線と地方交通線をまたいでいることから地方交通線の営業キロを換算キロに置き換えて幹線運賃表から算出している。

この運賃算出法でいくと、換算キロは営業キロの1.1倍としているので札幌~桑園間の幹線営業キロ1.6kmに桑園~当別間の営業キロ25.9kmを1.1倍した28.5kmを合算、合計30.1kmとなるので1km未満は数切り上げで幹線運賃表31~35kmの運賃800円(2025年3月31日まで750円)となる。

ただこの幹線と地方交通線をまたぐ運賃は全線を地方交通線とした場合に割高になるのを防ぐために行っているはずなのである。もし全線を地方交通線として算出すると、営業キロ27.5kmま地方交通線運賃表24~28kmの運賃680円(2025年3月31日まで640円)となるのである。

はて、幹線と地方交通線をまたぐ運賃は全線を地方交通線とした場合に割高になるのを防ぐために行っているはずなのに全線地方交通線とした方が運賃が安くなるのはおかしくないか?割増したはずの地方交通線として全線運賃計算した方が安くなるのであれば、安い運賃に合わせるべきではないか?




認可賃率を大きく上回る換算キロ設定で鉄道事業法違反状態へ!

また先述したように地方交通線の賃率は幹線賃率との割増割合が徐々に狭まってきている。

換算キロを設定した1987年の北海道旅客鉄道発足当時は地方交通線/幹線の賃率割合が1.099倍であったため換算キロを1.1倍と設定していた。がその後の運賃改定でJR北海道は割増割合が下がっているにもかかわらず換算キロの設定を怠ったことで運賃認可していない賃率での運賃を事実上請求しており、違法状態と言わざるを得なくなってきている。

同じく学園都市線札幌~当別間で見ていくと、2019年10月1日~2025年3月31日の間の地方交通線/幹線は1.096倍のため地方交通線である桑園~当別間の営業キロ25.9kmにかかる換算キロは28.39km→28.4kmとすべきであり、札幌~当別間の運賃計算キロは合計30.0kmとすべきである。この場合幹線運賃表に当てはめると26~30kmとなり運賃は640円となる。現在750円を徴収しているが110円は認可外の違法な値上げを行っているといえよう。

また2025年4月1日以降は地方交通線/幹線は1.092倍のため地方交通線である桑園~当別間の営業キロ25.9kmにかかる換算キロは28.28km→28.3kmとすべきであり、札幌~当別間の運賃計算キロは合計29.9kmとすべきである。この場合幹線運賃表に当てはめると26~30kmとなり運賃は680円となる。800円を徴収する見込みのようだが120円は認可外の違法な値上げを行っているといえよう。

つまりJR北海道は学園都市線札幌~当別間において認可していない違法な運賃設定を行っていると言えそうだ

なお旭川駅から宗谷本線・石北本線・富良野線方面は全線地方交通線運賃となるため札幌からの札沼線運賃より割安となる。札幌より都市圏規模が小さくて利用者も少ない宗谷本線・石北本線・富良野線の方が札沼線より運賃が安いっておかしくないですか?




改善策1:全線地方交通線とみなした際にそちらの方が安いのであれば全線地方交通線とみなして運賃を計算する

では今回の札幌~当別間の運賃について改善策はあるのだろうか。

まず1つは全線地方交通線とみなして運賃算出した方が安い場合は全線地方交通線として運賃を算出すること。賃率上割安なはずの幹線区間を割高な地方交通線として認識して安く済むのであれば問題はないだろう。

改善策2:換算キロを営業キロの1.092倍で振りなおす

2つ目は地方交通線の換算キロを1.1倍から1.092倍にすべて振りなおすこと。認可上は通るのだが、手間がかかるというデメリットがある。




改善策3:札沼線の運賃区分を幹線に変更する

3つ目は札沼線の運賃区分を地方交通線から割安な幹線に変更すること。

サッカーや野球などプロの世界では1年ごとに上位と下位を見直しているし、世界ランキングは年に数回更新している。プロの世界では条件に満ちたものは上げ、条件に満たないものはランクを下げる。これは当たり前のことである。

ただ人間の99%はアマチュアなので昔の基準をずっと引きずりたがるのである。現に幹線と地方交通線の区分を40年以上も区間を変えていないではないか。当然プロとしてあるまじき行為であるが、みんなアマチュアなので変えようとしないのである。

そもそも幹線は1980年時点で路線旅客輸送密度が8,000人/日以上で無条件でなっていた。札沼線は2020年5月6日の最終運行をもって北海道医療大学~新十津川間を廃止し桑園~北海道医療大学間の28.9kmの短い路線となり、路線輸送密度は11,000人/日以上となっている。地方各線で輸送密度が減少している中、札沼線では2024年時点で幹線基準を満たしているのだ。

また2025年4月1日JR西日本運賃改定で大阪近郊でJR宝塚線の運賃格差の是正をするのだから札幌近郊でも札沼線とそのほかの路線の運賃を統一しても良いだろう。




改善策4:すべての運賃を幹線運賃表に統合し1本化する

そして4つ目の改善策が地方交通線の運賃をすべて幹線運賃表に統合すること。

JR四国では1996年1月20日運賃改定にて地方交通線専用の運賃表を取りやめ、2023年5月20日運賃改定にて特定区間運賃表をすべて廃止し幹線運賃表に1本化した。地方交通線を利用する場合は必ず擬制キロを用いると決め認可を受けており、営業キロの1.1倍としている。このため認可書類に地方交通線の賃率を規定していない。

そもそもJR四国同様地方交通線の運賃をすべて擬制キロを用いるとして幹線運賃表に1本化、認可書類から地方交通線の賃率記載を削除してしまえば今回の問題はすべて丸く解決してしまうのである(札幌~当別間は800円のままで問題なくなる)。

また賃率次第で換算キロを変える手間も踏まえると、幹線運賃表に1本化した方が今後も含めて楽なのである。

わざわざ地方交通線の運賃表を設定するのを取りやめて、擬制キロ使用の幹線運賃表にしませんかJR北海道。


結び

今回の2025年4月1日JR北海道運賃改定では、普通運賃を6.6%値上げし初乗り210円とするほか、通学定期は10.5%、通勤定期は22.5%も値上げを図ることで、観光客にとって値上げはそこまででもない一方で道民の負担が増え市民生活に大きく影響をもたらすこととなった。

今後JR北海道でどのようなダイヤ改正を実施していくのか、見守ってゆきたい。

2025年4月1日JR北海道運賃改定はこちら!

JR北海道運賃変遷はこちら!

2024年鉄道バス運賃料金改定まとめはこちら!

関連資料 – 運賃改定の申請について – JR北海道

関連資料 – 運賃改定のお知らせ – JR北海道

関連資料 – 北海道旅客鉄道株式会社の鉄道事業の旅客運賃の上限変更認可申請書 – 国土交通省

コメント

タイトルとURLをコピーしました