JR九州は2024年7月19日、プレスリリースにて2025年4月1日に運賃改定を行うと公表した。今回はこれについて見ていく。
29年ぶりの値上げへ!
今回の2025年4月1日JR九州運賃改定では、消費税増税によるものをの測と1996年1月20日運賃改定以来約29年2か月ぶりに運賃改定を行う。
そもそも運賃上限認可申請が厳しくなったのは1998年からであり、それまでは大手私鉄含め鉄道事業者・バス事業者はは値上げ天国だったと言われている。近年20年以上ぶりの運賃値上げが各社で起こっていることを考えるとJR九州の運賃改定は私鉄と比べても順当なタイミングと言えるだろう。
今回の運賃改定内容は以下の通り。
営業キロ (1km未満端数切り上げ) |
2019/10/1運賃改定 | 2025/4/1運賃改定 | 値上げ率 |
1~3 | 170 | 200 | 17.6% |
4~6 | 210 | 240 | 14.3% |
7~10 | 230 | 270 | 17.4% |
11~15 | 280 | 340 | 21.4% |
16~20 | 380 | 450 | 18.4% |
21~25 | 480 | 560 | 16.7% |
26~30 | 570 | 660 | 15.8% |
31~35 | 660 | 760 | 15.2% |
36~40 | 760 | 870 | 14.5% |
41~45 | 860 | 990 | 15.1% |
46~50 | 950 | 1,090 | 14.7% |
51~60 | 1,130 | 1,300 | 15.0% |
61~70 | 1,310 | 1,510 | 15.3% |
71~80 | 1,500 | 1,730 | 15.3% |
81~90 | 1,680 | 1,930 | 14.9% |
91~100 | 1,850 | 2,130 | 15.1% |
101~120 | 2,170 | 2,420 | 11.5% |
121~140 | 2,530 | 2,860 | 13.0% |
141~160 | 2,860 | 3,300 | 15.4% |
161~180 | 3,300 | 3,740 | 13.3% |
181~200 | 3,740 | 4,180 | 11.8% |
201~220 | 4,070 | 4,510 | 10.8% |
221~240 | 4,400 | 4,950 | 12.5% |
241~260 | 4,840 | 5,390 | 11.4% |
261~280 | 5,280 | 5,830 | 10.4% |
281~300 | 5,610 | 6,270 | 11.8% |
301~320 | 5,940 | 6,600 | 11.1% |
321~340 | 6,160 | 6,820 | 10.7% |
341~360 | 6,490 | 7,150 | 10.2% |
361~380 | 6,820 | 7,480 | 9.7% |
381~400 | 7,040 | 7,700 | 9.4% |
401~420 | 7,370 | 8,030 | 9.0% |
421~440 | 7,590 | 8,250 | 8.7% |
441~460 | 7,920 | 8,580 | 8.3% |
461~480 | 8,140 | 8,800 | 8.1% |
481~500 | 8,470 | 9,130 | 7.8% |
501~520 | 8,800 | 9,460 | 7.5% |
521~540 | 9,020 | 9,680 | 7.3% |
541~560 | 9,350 | 10,010 | 7.1% |
561~580 | 9,570 | 10,230 | 6.9% |
581~600 | 9,900 | 10,560 | 6.7% |
これを見るに50kmまでは5km増えるごとに100円~110円ずつ値上げしている。西鉄が5kmあたり50円~60円の値上げであることを考えると遠距離になればなるほど西鉄の方が安く、博多~大牟田では西鉄天神大牟田線に到底かなわない。
またJR西日本との差額は以下の通り。
営業キロ | 税率10%時加算額 | 2025/4/1 |
1~3 | 20 | 50 |
4~6 | 20 | 50 |
7~10 | 30 | 70 |
11~15 | 40 | 100 |
16~20 | 50 | 120 |
21~25 | 60 | 140 |
26~30 | 60 | 150 |
31~35 | 70 | 170 |
36~40 | 80 | 190 |
41~45 | 90 | 220 |
46~50 | 90 | 230 |
51~60 | 140 | 310 |
61~70 | 140 | 340 |
71~80 | 160 | 390 |
81~90 | 160 | 410 |
91~100 | 160 | 440 |
101~120 | 190 | 440 |
121~140 | 220 | 550 |
141~160 | 220 | 660 |
161~180 | 220 | 660 |
181~200 | 330 | 770 |
201~220 | 330 | 770 |
221~240 | 330 | 880 |
241~260 | 330 | 880 |
261~280 | 440 | 990 |
281~ | 440 | 1,100 |
今回の2025年4月1日JR九州運賃改定では、280km超の区間でJR東日本・JR東海・JR西日本との運賃差額が1,100円となる。これはJR東日本・JR東海・JR西日本とJR北海道の運賃差額と同等で、国や北海道の支援が必要なJR北海道と完全民営化したJR九州が長距離区間で同じ運賃水準となってる。もっとも近距離はJR九州の方がやや安い。
またJR九州は運賃がやや割高な分国鉄時代から特急料金が割安で全線がB特急料金対象となったほか、2011年3月12日九州新幹線全線開通に伴い新幹線と在来線特急の乗継割引廃止に合わせて在来線特急料金を値下げしたことで九州島民の在来線特急利用が値下げ、JR6社の中で一番安く在来線特急に乗れる鉄道会社だった。
ただその在来線特急料金も2022年4月1日JR九州特急料金改定にて100km超ではほぼA特急料金と同等水準となったため運賃が高い分そのままJR他社より特急利用時の料金が上積みすることとなったほか、今回の運賃値上げでさらに値上げを図ることとした。割安で利用できたJR九州の特急はネット予約JR九州ネットきっぷに引き継いで、券売機やみどりの窓口で買う場合は安くしないこととしたようだ。
地方交通線特定運賃特定運賃存続へ!
今回の2025年4月1日JR九州運賃改定では、地方交通線で割安な特定運賃を存続する。
地方交通線特定運賃は1996年1月20日JR九州・JR四国運賃改定で地方交通線運賃表を廃止することにより軽減措置として設定したものである。このうちJR四国は2023年5月20日運賃改定で地方交通線特定運賃をすべて廃止し、運賃表を1本に統合した。
このためJR九州でも運賃改定を機に地方交通線特定運賃を廃止する可能性があった。が今回の運賃改定資料を見るに地方交通線特定運賃表を存続することとした。
少なくとも確認しているのは指宿枕崎線鹿児島中央~慈眼寺間が260円から320円に値上げ、豊肥本線大分~向之原間が300円から360円に値上げなどとなっている。もし地方交通線特定運賃が廃止となった場合それぞれ340円と450円に値上げとなっていたはずだが、運賃差額を周辺の営業キロ運賃表に合わせたことを踏まえると良心的と言えるだろう。
通勤定期割引率縮小へ!
今回の2025年4月1日JR九州運賃改定では、通勤定期の割引率を縮小する。
なお通学定期の割引率は維持するため、普通運賃と同じ割合で値上げする。
これにより普通運賃は14.6%、通学定期は16.0%(100kmまでしか設定がないため遠距離逓減が効く普通運賃の方が値上げ率が低く見える)、通勤定期30.3%の値上げとした。
結び
今回の2025年4月1日JR九州運賃改定では、29年ぶりの運賃改定を行い初乗り200円とする。
今後JR九州でどのようなダイヤ改正を実施していくのか、見守ってゆきたい。
関連資料 – 運賃・料金改定の申請について – JR九州
関連資料 – 九州旅客鉄道株式会社の鉄道事業の旅客運賃の上限変更認可申請書 – 国土交通省
コメント