新線開業や列車本数増加に伴い時刻表本文のページ割り付け、台割を変更する必要が生じる。
2024年3月16日の北陸新幹線金沢~敦賀間延伸開業およびJR西日本北陸本線敦賀~金沢間の特急列車消滅による運転本数大幅削減に合わせ台割を調整する必要が生じた。
そこで今回はJTB時刻表2024年3月号における台割変更について見ていく。
JTB時刻表2024年3月号の台割変化
今回のJTB時刻表2024年3月号における台割変化は以下の通り。
路線名 | ページ数増減 |
---|---|
東海道・山陽新幹線 | +2ページ |
上越・北陸新幹線 | +6ページ |
特急草津・日光 | +1ページ |
特急サンダーバード・しらさぎ | △2ページ |
山陽本線岡山~岩国間 | △1ページ |
山陰本線京都~鳥取間 | +2ページ |
鹿児島本線門司港~八代間 | △4ページ |
北陸本線・湖西線米原・京都~金沢間 | △4ページ |
+は増加、△は減少を表す。
JTB時刻表編集部では時刻表本文のページ数の変更はページ数を暗記して使用している旅行会社からのクレームにつながるため、極力控えるようにしている。にもかかわらず今回の変更では大きく変更していることから北陸新幹線敦賀延伸などで相当な変更を行う必要が生じたということなのだろうし、新幹線延伸が理由であれば旅行会社もある程度納得してくれるのだろう。
では各線ごとに台割変化について見ていこう。
東海道・山陽新幹線で4年ぶり2ページ増!
まずは東海道・山陽新幹線。2020年3月14日ののぞみ12本ダイヤ導入に伴う増発で下り1ページ・上り1ページの合計2ページ増加して以来の増ページとなる。
今回のの増ページも下り1ページ・上り1ページとなっており、下り19ページ・上り19ページの38ページも東海道山陽新幹線に費やすこととなった。
これは東海道新幹線内での臨時列車の増発と、東海道新幹線定期列車の山陽新幹線への臨時延長運転が拡大したことで記載列車数が年々増えていることによる。
次回増ページすると東海道・山陽新幹線その10まで行くことになるが。リニア中央新幹線の開業とどちらが先か楽しみだ。
上越・北陸新幹線で敦賀接続列車記載で6ページ増!
今回のダイヤ改正の目玉である北陸新幹線金沢~敦賀間延伸開業に合わせ、上越・北陸新幹線の記載区間を拡大することとした。
また、北陸新幹線富山~敦賀間と湖西線特急「サンダーバード」および北陸本線特急「しらさぎ」を敦賀で乗り継ぐ場合、通しの1本の列車扱いで特急券を発券することとした。このためJTB時刻表では上越・北陸新幹線にページにリレー列車として特急「サンダーバード」「しらさぎ」の時刻も記載することとした。
これにより上下型10ページだった上越・北陸新幹線は掲載駅数増加により下りと上りで別ページにせざるを得なくなった。列車増発分は運転期日を列車下部別欄に移すことでカバーし下り8ページ、上り8ページの合計16ページとし、6ページの増加となった。
「新幹線との乗りかえに必要な標準時分」移動!
「新幹線との乗りかえに必要な標準時分」はこれまで在来線特急と東海道本線の間だったが、今号より新幹線と在来線特急の間に移動した。
なお「新幹線との乗りかえに必要な標準時分」は北陸新幹線敦賀延伸で駅数が増えているが、文字をたてにつぶすことで1ページに収めている。
この影響で在来線特急も台割変更が生じ、在来線特急が奇数ページ始まりになったほか、高崎線特急「草津」「日光」と東武直通特急「日光」「きぬがわ」が合わせて1ページから各1ページの2ページに分けて1ページ増やすことで関東から先の在来線特急列車の大幅な台割変更をなくしている。
特急「サンダーバード」「しらさぎ」3ページから1ページに縮小!
今回の北陸新幹線金沢~敦賀間延伸で運転区間を大きく短縮する湖西線特急「サンダーバード」と北陸本線特急「しらさぎ」。ほぼ運転区間が被らなくなったため同一表からそれぞれ単独の表に再編、3ページから1ページに大きく縮小し2ページ削減している。
なお特急「サンダーバード」「しらさぎ」と同一表記載だった七尾線特急「能登かがり火」が紀勢本線特急「南紀」の下に移動している。
このほか智頭急行線特急「スーパーはくと」の増発と特急「らくラクやまと」運転開始に伴い、特急「まほろば」が特急「らくラクやまと」とともに飯田線特急「伊那路」の横に移動している。
ここまで新幹線と在来線特急で7ページ増加している。この後の在来線各線では、ページ数を増やさないためにこの7ページ分を各所で縮めている。
東海道本線、37年5か月ぶりの見開きスタート!
そして今回一番の大激変と言われるのが、東海道本線が見開きページ、つまり偶数ページスタートとなったことである。
在来線最初の時刻表である東海道本線は奇数ページ、つまり見開き右側からスタートする。この形式となったのは国鉄最後のダイヤ改正となった国鉄監修交通公社の時刻表1986年11月号からで、それまでは見開き側の偶数ページスタートだった。何なら国鉄時代でJR会社境界もなかったので在来線最初の時刻表は東京~名古屋間だった。
今回の在来線ページの開始が見開き左側の偶数ページからに変更するのは37年5か月ぶりの大変革と言える。
ただし東海道本線東京~熱海間は15ページのまま変わらないため、続く東海道線熱海~米原間、東海道本線・山陽本線米原~岡山間、山陽本線岡山~岩国間が偶数ページスタートから見開き右側奇数ページスタートに変化し、やや見づらくなっている。
なお山陽本線岡山~岩国間が今回の台割変更で11ページから10ページに1ページ削減したため、山陽本線岩国~小倉間以降は北陸地方を除きページ割り付けがほぼ同等となっている。
そもそも山陽本線岡山~岩国間の表は2016年3月26日ダイヤ改正での土休日終日にわたり快速「シティライナー」を運転することから列車数が大幅に増えるため岡山~小倉間の表を岩国で分割したものだったが、2021年3月13日ダイヤ改正以降昼間の快速「シティライナー」の運転はないことから1ページ削減が可能な状態だった。今回の台割変更で見直す気脚気になったのだろう。
山陰本線京都発着列車増加で2ページ増加!
また今回の台割変更は北陸がらみだけではない。
山陰本線では今回の2024年3月16日ダイヤ改正より京都~亀岡間で昼間を中心に毎時1本増発することになった。これに合わせ山陰本線京都~鳥取間が下り5ページ・上り5ページから下り6ページ・上り6ページに各アページずつ増加、計2ページ増加している。
鹿児島本線で4ページ削減!
鹿児島本線では2022年9月23日の西九州新幹線開業に伴うダイヤ改正で、平日と土休日別ダイヤから原則全日同一ダイヤとなった(博多駅周辺で一部に土休日運休列車あり)。これにより列車を平日運転と土休日運転で分けて記載する必要性が減ったことから鹿児島本線のページで記載する列車が大幅に減少していた。
ただ冒頭の通りJTB時刻表ではページ数の安易な変更は旅行会社からのクレームにつながるため、列車本数が大きく減ってスカスカになったまま1年半放置していた。
が、今回の2024年3月号の台割変更で在来線ページを7ページ削減する必要が生じたことから削減の的となったのである。
これまで鹿児島本線門司港~八代間は下り14ページ・上り14ページだたっところ、今回の台割変更で下り12ページ・上り12ページとなり計4ページ削減した。
これにより北陸新幹線延伸と関係のない九州島内で4ページ削減することとなった。
在来線特急の大幅減少で北陸本線4ページ削減!
そして今回の台割変更の主役と言える北陸本線の台割変更。
北陸新幹線金沢~敦賀間延伸開業により北陸本線では金沢~敦賀間を走行する特急列車が全滅、大きく減便することになる。
また今回の台割変更で北陸本線・湖西線米原・京都~金沢間を敦賀で分割、それぞれ上下型配置とすることとした。
これにより北陸本線・湖西線米原・京都~金沢間の下り8ページと4分の1、上り8ページと4分の1、城端線・氷見線・越美北線全1ページの計18ページから、北陸本線・湖西線米原・京都~敦賀間を上下型10ページ、ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道敦賀~金沢間を上下型4ページに掲載し敦賀~金沢間の下部に城端線・氷見線・越美北線を配置した。
これにより北陸本線・湖西線米原・京都~金沢間および城端線・氷見線・越美北線が計18ページから14ページに4ページ削減している。
中日本・東北・北海道はページ数変わらず
これ以降中日本・東北・北海道ではページ数の変化はない。
ここまでの台割変更は列車数の大きく増減した線区を中心にしたものだったが、それらを反映しても同一ページ数に収めている。
今回の2024年3月16日ダイヤ改正では中日本・東北・北海道地区での大幅な列車数の変更があった。JR東海中央西線では名古屋発着列車の昼間毎時8本から毎時6本への減便を行ったがページ数が変わらなかったためスカスカだし、一方でJR北海道千歳線では区間快速エアポート運転開始と千歳~苫小牧間折り返し列車への系統分割により昼間毎時1~2本程度増発しているが、すし詰めにしなんとか押し込めページ数を上下型7ページのまま変えることなく済んでいる。
よって今回のJTB時刻表での在来線会社別台割変化は、JR東日本±0、JR東海±0、JR西日本△7(北陸本線の転換△4含む)、JR四国±0、JR九州△4、JR北海道±0となっている。
これにより時刻表本文のページは総じて変えず、総ページ数は1108ページのまま据え置きとした。
乗継割引廃止で「主要区間の運賃・特急料金早見表」の乗継運賃料金大幅削除へ!
今回の2024年3月16日ダイヤ改正に合わせ、全国で在来線特急料金を半額に割り引く新幹線と在来線特急の乗継割引制度を全廃止することとなった。
このため乗継割引に関して記載していた営業案内53ページはスカスカになり、指定席料金の多様化による表の拡大でスペースを埋め合わせている。
が、この影響が営業案内11ページ~20ページの「主要区間の運賃・特急料金早見表」にも影響している。
従来「主要区間の運賃・特急料金早見表」では、主に在来線特急の運賃と料金を掲載していたが、新幹線との乗継運賃・乗継料金も掲載していた。
が、今回の乗継割引廃止に伴い新幹線との連絡記載区間を大きく縮小しているのだ。
今回の更新で新幹線と在来線特急の乗継運賃料金表が消滅した在来線特急は以下の通り。
北斗、つがる、いなほ、しなの(北陸新幹線長野経由)、しらゆき、しおかぜ、南風、うずしお、リレーかもめ、みどり、ハウステンボス、ソニック、にちりん、にちりんシーガイア
もっとも「つがる」や「しなの(北陸新幹線長野経由)」など明らかに利用が少なそうなものはなくしても仕方ないが、「いなほ」は上越新幹線連絡特急だしなにより東京から北海道、四国、九州への乗継運賃料金表が消滅している。岡山連絡伯備線特急「やくも」の新幹線連絡運賃料金表は残っているためなおのこと岡山連絡四国各地の新幹線連絡運賃料金表が消されたのが不思議でたまらない。
このほか中央線特急「しなの」の新幹線乗継記載も東海道山陽新幹線博多までから新大阪までに短縮している。
おそらく表を減らすことで高騰しているインク代の削減を目論んでいるのだろうが、通しの運賃記載がなくなると計算の手間が増えるのだが。名古屋や大阪から四国・九州は結構利用者いますので、そこそこ使うのですよ。料金表は合算すればいいだけだけれども、運賃は距離を足さないといけないのとJR会社間差額(JTB時刻表では加算額としている)がある関係でけっこう手間がかかるし。
また、東京から北海道、四国、九州への乗継運賃料金表がなくなることにより新幹線と在来線特急の分断が目に見えて浮き彫りになっているようにすら感じるのは気のせいだろうか。
このほか今号より各特急料金表から路線名・方面記載が消滅、[]内の列車愛称のみの記載となった。
結び
今回のJTB時刻表2024年3月号における台割改定では、北陸新幹線金沢~敦賀間延伸開業に合わせて東海道山陽新幹線や山陰本線など増発していた他線区でも台割を変更している。
また「新幹線との乗りかえに必要な標準時分」の位置が移動したり「主要区間の運賃・特急料金早見表」で新幹線と在来線特急の乗継料金表が大きく縮小するなど相当な記載減少を伴っている。
来年2025年4月に100周年を迎えるJTB時刻表でどのような台割変更を行うのか、見守ってゆきたい。
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