バスの運賃は距離が長くなるにつれて上がっていく対キロ区間制運賃を採用していることが多くなっています。
一方、東京23区と周辺4市、川崎市、名古屋市、大阪市などでは運賃を均一にすることにより省力化しています。
よくこの中に横浜市も入れられることが多いのですが、横浜市は場所によって運賃が均一な区間と対キロ区間制によって変動する区間に分かれており、その両者をまたぐバスも多数設定しています。同じ横浜市内でもかなり割れているため、利用者からするとわかりにくいものとなっています。
いったいなぜ横浜市は運賃均一区間と対キロ区間制区間が混在することとなったのでしょうか。
横浜市内の対キロ区間制を実施している区
バス運賃220円均一区間と対キロ区間制運賃が混在する横浜市。横浜市の
横浜市には18区あります。このうち中区、西区など中心地は運賃220円均一ですが、ほぼ全域で対キロ区間制を採用しているのは金沢区、栄区、泉区、瀬谷区の4区となっています。
とはいえ例外もそこそこにあり、緑区および青葉区のうち長津田駅周辺、旭区のうち今宿より北、港南区のうち港南車庫より西と南は対キロ区間制ですし、金沢区の横浜市営バスや横浜交通開発運行路線は運賃均一220円となっています。
戸塚区は運賃均一区間と変動区間がほぼ半々で、戸塚駅から北西側および東戸塚駅より西側はおおむね運賃220円均一、それ以外の戸塚駅西口側、つまり主に戸塚区の南半分は運賃変動区間となっています。
区の中でも運賃均一区間と対キロ区間制区間が混在している現状はなぜ生まれたのでしょうか。
運賃が均一なのは公営バスのせい
ではなぜ横浜市は運賃均一区間と対キロ区間制区間が混在しているのでしょうか。
そもそも運賃を均一にしだしたのは都営バスや各市営バスなどの地方自治体が運営する公営バスです。
横浜市内の運賃均一区間は、1960年ごろに横浜市営バスが運行していたエリアにほぼ合致しています。
つまり、横浜市営バスが運行しているエリアは民間バス事業者も同額の運賃均一制とし、横浜市営バスエリア外は神奈川県西部同様運賃変動制のまま残したのです。
バスの乗り方も多種多様
運賃均一区間では前乗り中降りで運賃前払いが一般的ですし、横浜市も同様です。
運賃変動制の場合は原則中乗り前降り運賃後払いが原則ですが、横浜市内には一部で運賃変動区間であっても前乗り中降り運賃前払いのバスが多くあります。
神奈川県のバスで一番車両台数が多いのは神奈川県の広い範囲を営業範囲とする神奈川中央交通です。神奈川中央交通では2000年まで運賃変動区間であっても全エリアで前乗り中降り運賃前払いを採用しており、運賃支払い時に降車停留場を言うことで支払額を決めていました。
とはいえ運賃収受漏れが多くなってきたことから神奈川中央交通や江ノ電バスでは2006年より順次運賃変動制のバスで前乗り中降り運賃前払いから中乗り前降り運賃後払いに順次変更してきました。
ただ、神奈川中央交通や江ノ電バスでも横浜営業所や舞岡営業所管内、つまり東海道線より東側は現状でも前乗り中降り運賃前払いとなっています。これは主に運賃均一区間しか通らない路線が多いためですが、戸塚駅より南側は運賃変動区間ですので運賃変動区間でありながら前乗り中降り運賃前払いの区間も多く残っています。
このため運賃変動制区間であっても相鉄バスや、江ノ電バスや神奈中バスの大船駅より東と北では前乗り中降り運賃前払いとなっています。乗車時に降車停留場を告げてから運賃を払う必要があります。
よって横浜市内には、
- 運賃220円均一で前乗り中降り運賃前払い
- 運賃変動制で前乗り中降り運賃前払い
- 運賃変動制で中乗り前降り運賃後払い
の3種類が存在しています。
もっとも横浜市営バスは運賃220円均一で前乗り中降り運賃前払いですが、そのほかの民間バスでは路線によって乗り方、払い方が異なります。
横浜市内でバスに乗る際には注意しましょう(特にオレンジ系の神奈中バスと江ノ電バス)。
結び
横浜市内では歴史的事情から運賃均一区間と対キロ区間制区間が混在しています。
利用の際には注意しましょう。
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