
JR東海は2025年9月30日、リニア中央新幹線開業時の車両となるM10系を報道陣に公表した。今回はこれについて見ていく。
リニア中央新幹線開業にむけ営業用車両M10系を公表!
JR東海では2035年以降にリニア中央新幹線のうち品川~名古屋間を開業するとしている。
当初2027年に開業と聞いていたが全面的に工期が伸びているのでどうやら10年は遅れることになるらしい。
これに向けて導入する車両がM10系である。
座席簡素化でリクライニング廃止でリクライニング論争終止符へ!
ではM10系はどのような車両になるのだろうか。
リニア中央新幹線はトンネル断面積が従来の新幹線より狭いため、車幅も狭くなることから2人掛け&2人掛け座席となる。また2人掛けになるため座席転回に必要な前後幅も広く取る必要がない。このため普通車の座席間隔は通常の新幹線の104cmからリニア中央新幹線M10系では86cmに狭くなり、占有面積が17.3%も減少する。前後間隔が狭くなると圧迫感を感じるし座席に大型荷物を置けるとしているがたかがキャリーケースSサイズレベルでMサイズは無理だろう。
また少なくとも普通車では最初から座席を15度傾けることでリクライニングを廃止すすとしている。このためリクライニング論争が根本からなくなるのだ!
これによりリクライニングしてもいいですかなどのムダな気を使わざるを得ないリクライニング論争がリニア中央新幹線の普通車ではでは存在ないしなくなることから、車内の快適性が上がる見込みだ。
なおリニア中央新幹線では地上区間はすべて多いでかぶせ車窓は一切見えないため、窓の大きさも縦横50cm程度から縦30cm、横20cmまで小さくする。
新型車両M10系所要時間40分の500km/hで走る通勤電車と割り切り!
ではなぜこのように従来の新幹線と比べ座席を簡素にしているのか。それは品川~名古屋間は所要時間40分しかかからず、新大阪まで全通しても1時間07分しかかからないことからたまたま500km/hで走るだけの通勤電車と割り切っているためである。
そもそもJR東海の主力商品である東海道新幹線最速達列車「のぞみ」は空いている日でも10分程度待てば来るし、多客期には最短3分で次の電車がやってくる。車両性能からしてもたまたま285km/hで走るだけの通勤電車である。リニア中央新幹線はその「のぞみ」の代替なのだからたまたま500km/h出るだけの通勤電車なのである。
通勤電車なのでもはやロングシートでも良いし、当然座席のリクライニングなんて必要ない。だって次の電車がバンバン来ることに加え乗ってる時間が短いんだもの。
そもそも所要時間40分というのは総武線快速の東京~千葉レベルぞ、40分すらリクライニングなしで辛抱できないのか?できるだろう?ということで座席を相当簡素化することにしたのだろう。もはやクロスシートだけでもありがたいと思えと言わんばかりのようだ。
今後新幹線座席のリクライニングなしは広がるか!
今回のリニア中央新幹線開業向け新型車両M10系で明らかになった座席を最初から15度傾けることでリクライニングを廃止しリクライニング論争に物理的に終止符を打つこととした。
ただリクライニング論争は全国の新幹線で起きていることである。リクライニングを廃止することは設備が簡素となるので製造時も保守点検も省力化でき鉄道会社としては大きく助かる。ほかの新幹線でも導入しないのだろうか。
その1つ手掛かりになりそうなのがJR東日本が2031年の営業開始に向け投入しようとしている東北新幹線用新型車両E10系。普通車とされる車内は2人掛け&2人掛けシートとしている。が座席の作りが従来の普通車座席と比べ簡素なのである。
また車両形式名もE10系はこれまでのJR東日本向け新幹線E1系からE8系のつながりで付けるため自然だが、リニア中央新幹線向けM10系の命名理由は謎である。MはMaglevからとっているとしても、もしL0系からの進化だとしたら東海道新幹線でいう0系の次の100系となるはずなので、L100系やM100系となるはずである。にもかかわらずM0系でもM100系でもなくリニア中央新幹線営業運転向け車両をM10系としたのはJR東日本のE10系から何らかの影響を受けているためであり、その1つが最初から傾けて
そうなると東北新幹線向け新型車両E10系の普通車も座席を最初から傾けてリクライニングを廃止した座席なのかもしれない。
今回のリニア中央新幹線向け新型車両M10系に搭載する最初から傾けたリクライニング廃止座席は、JR東日本東北新幹線用新型車両E10系をはじめ全国の新幹線にも導入するのではないだろうか?
結び
2035年以降に開業するリニア中央新幹線向けに投入する新型車両M10系では、500km/hで走る通勤電車として割り切ることで座席前後間隔を狭めリクライニングを廃止することでリクライニング論争に終止符を打つこととした。
今後リニア中央新幹線開業に向けJR東海でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
関連情報:リニア「M10」の座席、背もたれは固定式に JR東海、乗車時間の大幅短縮受け判断 – 中日新聞


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