国鉄解体末期並みの大赤字で時間帯別運賃採用か! JR東日本運賃改定予測(2022年以降予定)

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国鉄解体末期並みの大赤字で時間帯別運賃採用か! JR東日本運賃改定予測(2022年以降予定)

JR東日本は2020年7月8日の視聴記者会見にて、時間帯別運賃の導入について言及した。今回はこれについて見ていく。

四半期決算は国鉄解体直前並みの大赤字へ

JR東日本では2022年以降実施予定のJR東日本運賃改定で、時間帯別運賃を導入する可能性がある。

そもそも事の発端とされているのが2020年4月~6月の利用の大幅な落ち込みである。2020年4月~6月の四半期決算ではJR東日本は1,533.77億円の赤字、JR東海は726.51億円の赤字、JR西日本は767.11億円の赤字、JR九州は51.19億円の赤字となっている。このJR上場4社の合計赤字は3,078.58億円に及び、もし1年間この状況が続けば1兆2314億円もの赤字になる。国鉄末期5年間(1982年度~1987年度)は年間1兆3610億円~1兆8478億円の赤字の赤字を計上していたことを考えると、この3か月間だけで見れば国鉄末期の解体直前並みに経営が傾いていたということになる

もっとも4月や5月は緊急事態宣言が出ており大幅に利用が落ち込んでいたことから6月にはある程度は回復しており、JR東海は超ドル箱路線である東海道新幹線を持っており例年の四半期黒字額よりも赤字額が小さいこと、かつ臨時列車の減便で柔軟に輸送力を調整できるので通年通せば2020年度も黒字にできる可能性はある。ただJR東日本とJR西日本が2020年度に黒字を維持するのは厳しそうだ。

そこでJR東日本が検討し始めたのが、時間帯別運賃の導入である。そこで今回はJR東日本が時間帯別運賃を導入した際にどのような運賃になるのか予測していく。




時間帯別運賃導入へ

そもそも世界での時間帯別運賃の導入について見ていくと、ロンドン地下鉄は通勤時間帯のみ割増な運賃の設定、香港鉄路MTRはICカードオクトパス利用時の運賃を終日1回用ICカード利用時の運賃より安く設定しているほかに、早朝割引として7時30分までにICカードオクトパスで入場した場合に20%割引運賃を導入している。ほかにも世界では時間帯別運賃を導入している事業者はあるが、概ねは上述したようにICカードのみの適用で、通勤時間帯のみの割増運賃また早朝割引のどちらかで、運賃も2種類しか用意がない。

ただ日本は鉄道の多くが公企業体ではなく私企業が運営している。また社会への影響も大きいため国土交通省に上限運賃の認可を行う必要もある。国策で鉄道の運賃を変えましょうなんて言ってすぐに帰ることなんてできないのだ。




ではJR東日本ではどのような時間帯別運賃を組めるのだろうか。東京近郊で適用している特定運賃は届出制のため、電車特定区間と同水準にまで値上げすることは簡単に可能だ。特に通勤定期券は原則勤務する会社の費用で支給されるものだから、値上げしたって困るのは会社であって多くの個人は問題ない。

ただ幹線区間や電車特定区間の運賃表そのままの運賃は定期運賃を含め申請を行わなければならず、申請を行うためには過去3年分の収益の開示と現状の運賃では収益が改善できないことを証明する必要がある。このご時世なので長期的に利用減少が見込まれる可能性はあるが、JR九州やJR四国のように鉄道事業自体がすでに赤字であるならば2020年度分の決算をもっていけば運賃値上げ申請が容易にできるだろうが、過去30年以上も連続黒字だったJR東日本やJR東海、JR西日本の3社は少なくとも2年分の赤字と長期的な収益改善が見込めないことを証明しなければならない。

またJR東日本は時間帯別運賃を導入するとしているが、他国同様時間帯別運賃になるのはICカード利用時のみだろう。しかもJR東海との兼ね合い上時間帯運賃を導入できるのは電車特定区間内のみで、最大でもきっぷの運賃や通勤定期運賃が幹線並みになるだけであってそれ以上値上げすることはない。いやむしろ早朝など時間帯によってはICカード利用の場合値下げの可能性まである。

なおもし電車特定区間内のきっぷの運賃が幹線運賃並みに上がるとすると、15.3円/km(税抜)から16.2円/km(税抜)に値上がり約5.9%値上がりすることとなる見込みだ。

ただ、今回の時間帯別運賃の導入に言及をとどめたのは、恐らく一番の理由はきっぷの運賃の全時間帯値上げによる通勤定期券の値上げだろう。ただ通勤定期券の大半は企業側の負担であることから、下手に言い出せば経団連やそれを代弁している自民党から潰されかねない。過去には東京駅の改築費用を捻出させるために法律を変えさせたこともあるし、今でも整備新幹線区間の最高速度引き上げを行い国との関係をズブズブ進めたいJR東日本が自民党を敵に回したくないのだ。そのために通勤定期券の値上げに必要な要素であるきっぷの運賃の値上げを行うために、時間帯運賃による通勤時間帯の運賃値上げと言う表現にとどめたのだろう。


結び

今回の2022年以降実施予定のJR東日本運賃改定では、ICカード利用時における時間帯別運賃の導入が見込まれる。

今後JR東日本でどのような運賃改定を実施するのか、見守ってゆきたい。

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