静岡鉄道は2019年7月2日、プレスリリースにて10月1日の消費税増税に合わせ運賃改定を行うと公表した( 鉄道事業の旅客運賃改定について )。今回はこれについて見ていく。
全区間一律の値上げ実施へ!
今回の2019年10月1日静岡鉄道運賃改定では、消費税増税分を上回る運賃値上げを行う。
今回の運賃改定では概ね20円値上げを行う。この運賃値上げにより3億7000万円の増収を見込んでいる。
消費税率改定を除いた運賃値上げは1985年以来34年ぶりとしており、関東・関西大手私鉄が1998年まで盛んに運賃値上げをしていたことを考えるとある程度の値上げは致し方ないものと思われる。
消費税率増税に合わせれば、0~10円の値上げのみとなるが、今回の運賃改定ではほぼ全区間に渡り消費税増税分+20円の値上げを行った。
これにより初乗り運賃は120円から140円に値上がりしたほか、新静岡~新清水間では300円から330円に値上げした。
まあこの運賃改定では競合するJR東海でも初乗り運賃を140円から150円に値上げしており、5kmまでの普通運賃は静岡鉄道の方が勝っている。公平に運賃を値上げするということからも、近距離区間同様遠距離区間でも運賃を値上げするのは致し方ないことだろう。
これにより普通運賃は平均して10.34%値上げすることとなった。
ただ1つ問題なのは、通勤定期運賃は普通運賃を上回る11.27%の運賃値上げを行っていること。割引率が36.0%~45.1%にまで下がり、1か月当たり1,000円以上値上げしている。これにより通勤1か月定期では4kmまでは静岡鉄道の方が安かったが、今回の運賃改定により全区間においてJR東海の方が安くなってしまった。無論、静岡鉄道など私鉄は3か月定期は1か月定期と比べ5%割引、6か月定期は10%割引なのに対し、JR東海は概ね3か月定期は1か月定期と比べ10%割引、6か月定期は20%割引であることから、かなうはずがない。
なお通学定期は既にJR東海に負けているため、消費税増税分の運賃値上げのみに留めた。
また今回の運賃改定の認可申請は、実は40円値上げで行っている。もっとも実施運賃は20円値上げで済んでいるのだが、今後さらに財務状況が悪化すれば事実上静岡鉄道の自己判断であと20円値上げができることになる。
さすがにほぼ全線でJR東海と競合していることを考えるとすぐには値上げすることはないだろうが、今後の状況次第ではありえなくはない。
なお認可申請書類の通勤定期券の割引率は30%ともはやバス並み。せめて35%は残さないと、回数券の方が安くなってしまうのだが。
結び
今回の2019年10月1日静岡鉄道運賃改定では、消費税率改定と同時に10%程度の大幅な運賃値上げを行った。
今後静岡鉄道でどのような運賃改定を実施するのか、見守ってゆきたい。
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