JR各社間の直通運転 特急から普通まで列車走行キロで調整

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JR各社間では直通列車を列車走行キロを調整している

JR旅客各社は、今となっては6つのそれぞれ独立した会社ですが、元は1つの日本国有鉄道でした。

このためJR旅客各社に分割した1987年当初は都市間を結ぶ特急・急行列車のみならず普通列車もかなり広い範囲で相互直通運転を行っていました。

この分割民営化の際にこれまで必要のなかった運行距離精算を行う必要が生じました。車両走行キロではなく列車走行キロで行うこととなりました。これは増結などで車両数が変わってしまった場合に算定距離が変わってしまう車両走行キロでは計算が煩雑になるためです。

列車営業キロの融通

JR旅客会社間では列車走行キロの調整をしています。

どうやら在来線は在来線で、新幹線は新幹線でそれぞれで調整しているようです。

新幹線の場合は運転本数が多いことから、臨時列車の運転や車両運用の変更などにより容易に列車走行キロの調整ができます。ただ在来線ではそうはいかず、基本的に定期列車の列車走行キロで調整しています。

もっともここまでは私鉄や地下鉄の相互直通運転とあまり変わりありません。が、JR旅客各社の列車走行キロ調整によりダイヤ改正で大きな変更を及ぼすこともあります

JR東日本東海道線車両のJR東海区間が徐々に減ったのはJR九州が所有する寝台特急の削減によるものだったり、大阪発着特急「しなの」廃止と同時にJR西日本車の大垣乗り入れ3往復がなくなったのもこのためです。また不自然にJR東海御殿場線完結運用にJR東日本E231系5両編成を運用していたのもこのためです。

ではJR旅客会社相互間で現在どのような直通運転を行っているのでしょうか。新幹線と在来線を分けてみていきましょう。




新幹線の相互直通運転

新幹線の相互直通運転は以下の通りとなっています。

  • JR北海道北海道新幹線H5系↔JR東日本東北新幹線E5系
  • JR東日本北陸新幹線E7系↔JR西日本北陸新幹線W7系
  • JR東海東海道新幹線N700系16両編成・N700S↔JR西日本山陽新幹線N700系16両編成・N700S
  • JR西日本山陽新幹線N700系8両編成↔JR九州九州新幹線N700系8両編成

新幹線の相互直通運転では、車両性能に差があると列車時刻に影響が出てしまうこと、座席数が異なると座席予約を取りにくいことから原則同車種・同座席数の車両で行っています。




JR旅客各社の在来線の相互直通運転

JR旅客各社の在来線の相互直通運転は以下の通りとなっています。

  • JR東日本E231系・E233系10両編成→JR東海東海道線熱海~沼津間
  • JR東日本E257系5両編成特急「踊り子」→JR東海東海道線熱海~三島間
  • JR東日本211系3両編成→JR東海中央本線塩尻~中津川間・飯田線辰野~飯田間
  • JR東海213系2両編成・313系2両編成→JR東日本中央本線辰野~岡谷間、茅野~岡谷~塩尻間、篠ノ井線塩尻~松本間
  • JR東海373系特急「しなの」→JR東日本篠ノ井線塩尻~篠ノ井間、信越本線篠ノ井~長野間、臨時列車として大糸線松本~南小谷間
  • JR東海HC85系特急「ひだ」→JR西日本高山本線猪谷~富山間、東海道本線米原~大阪間
  • JR東海HC85系特急「南紀」→JR西日本紀勢本線新宮~紀伊勝浦間
  • JR東海285系寝台特急「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」→JR東日本東海道本線東京~熱海間、JR西日本東海道本線米原~神戸間、山陽本線神戸~倉敷間、伯備線倉敷~伯耆大山間、山陰本線伯耆大山~出雲市間、宇野線岡山~茶屋町間、本四備讃線茶屋町~児島間、JR四国本四備讃線児島~宇多津間、予讃線宇多津~高松間、臨時延長運転として予讃線宇多津~多度津間、土讃線多度津~琴平間
  • JR西日本285系寝台特急「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」→JR東日本東海道本線東京~熱海間、JR東海東海道本線熱海~米原間、JR四国本四備讃線児島~宇多津間、予讃線宇多津~高松間、臨時延長運転として予讃線宇多津~多度津間、土讃線多度津~琴平間
  • JR西日本683系特急「しらさぎ」→JR東海東海道本線名古屋~米原間
  • JR西日本223系5000番台2両編成→JR四国本四備讃線児島~宇多津間、予讃線宇多津~高松間
  • JR四国5000系3両編成→JR西日本宇野線岡山~茶屋町間、本四備讃線茶屋町~児島間
  • JR四国8000系・8600系特急「しおかぜ」→JR西日本宇野線岡山~茶屋町間、本四備讃線茶屋町~児島間
  • JR四国2000系・N2000系特急「南風」「うずしお」→JR西日本宇野線岡山~茶屋町間、本四備讃線茶屋町~児島間

このように在来線では列車種別の異なる列車でも直通運転をしています。が、それぞれで棲み分けをしていることが多く共通運用にすることが物理的にできません。この点で私鉄や地下鉄が行っている相互直通運転を大きく異なります。




JR西日本とJR四国では岡山~児島~高松間に快速マリンライナーを運転していますが、原則JR四国5000系3両編成とJR西日本223系2両編成を併結することにより列車走行キロを合わせています

またこの列車走行キロ調整をうまく利用しているのがJR東海です。静岡県内のJR東海の車両は3両編成または2両編成で、315系4両編成を投入しても最長が4両編成となります。が、3両や6両では朝の沼津や三島から東京へ向かう旅客をさばききれません。そこで朝の沼津始発東京方面列車をJR東日本E231系やE233系10両固定編成での運転とすることで十分な輸送力のほか横浜・東京方面直通列車として利便性が高い列車設定とできるほか、JR東海が朝のみ使用する車両を極力持たないようにすることで合理化を図っています

また飯田線や中央西線ではJR東海とJR東日本の境界からJR東海の車両管理区まで距離があり、朝の塩尻や辰野からの初電の運転や塩尻や辰野への終電を運転するためにJR東日本管内でJR東海の車両を夜間滞泊させては設備使用料を取られてしまいます。そこでJR東海では朝の塩尻や辰野からの初電や塩尻や辰野への終電に境界からほど近いJR東日本松本車両センターの車両211系を使用することにより、回送ロス削減も夜間滞泊費用の削減も図っています


結び

JR各社間では列車営業キロを調整しています。が、この運用のために車両を列車走行キロ精算のためだけに用意しなければならないなど私鉄や地下鉄間の相互直通運転と異なる面があります。そしてダイヤ改正などで大きく変わることがあるのです。

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