京王電鉄は2023年3月24日、プレスリリースにて2023年10月に運賃を改定すると公表した( 鉄道旅客運賃の改定を申請しました )。今回はこれについて見ていく。
値下げから25年経過の値上げへ
今回の2023年10月1日京王電鉄運賃改定では、1997年12月28日運賃改定以来約25年ぶりに本体価格の改定を行う。
京王電鉄では1987年より1997年まで特定都市鉄道整備事業計画に係る運賃上乗せを行っていたが、その取り崩し開始により1997年12月28日運賃改定で値下げしていた。この取り崩し期間は10年間のため2007年12月に運賃を10%値上げが可能になったが、当初の予定時期に値上げをせずその後15年以上にわたり低廉な運賃を維持してきた。
このため運賃の本体価格の値上げは1995年9月1日運賃改定以来約28年ぶりとなる。
つまり今回の運賃改定はそもそも15年前に行ってもおかしくなかったものであり、今回の運賃値上げは順当だろう。むしろ15年間も運賃を値上げしなかったことに沿線住民は感謝するレベルである。そう考えると他社とは違い京王電鉄は運賃を値上げしてしかるべしと言えよう。
今回の運賃改定率は13%となっている。詳細は以下の通り。
営業キロ(km) | 2019/10/1 消費税率改定 |
2023/10/1 | 引き上げ率 | 新宿・渋谷から |
1~4 | 126 | 140 | 11.1% | 笹塚 |
5~6 | 136 | 160 | 17.6% | 明大前 |
7~9 | 157 | 188 | 19.7% | 桜上水 |
10~12 | 178 | 209 | 17.4% | 千歳烏山 |
13~15 | 199 | 230 | 15.6% | つつじが丘・吉祥寺 |
16~19 | 242 | 273 | 12.8% | 調布 |
20~24 | 283 | 314 | 11.0% | 府中 |
25~30 | 325 | 356 | 9.5% | 聖蹟桜ヶ丘・京王多摩センター |
31~37 | 346 | 388 | 12.1% | 高幡不動 |
38~44 | 367 | 409 | 11.4% | 京王八王子 |
45~52 | 388 | 430 | 10.8% | 高尾・高尾山口 |
単位:円
これを見ると、6km超から30km以内は一律31円、30km超は一律42円の値上げとしている。
新宿~京王八王子間はJR東日本中央線と競合しているが、中央線が492円なのに対し京王線は値上げ後も409円であることを考えると依然割安といえるだろう。
ただ、新宿~聖蹟桜ヶ丘・京王多摩センターなどの二区間定期券を発売知る多摩ニュータウンエリアの値上げ率が低くなっているのは何か意図を感じざるを得ない。
なお今回の運賃値上げ後も京王電鉄運賃のうち20km以内は関東大手私鉄最安水準となっている。
また通勤定期券は普通運賃と同様の値上げを図るが、通学定期券は運賃を据え置く。
相模原線加算運賃完全廃止へ!
また今回の2023年10月1日京王電鉄運賃改定では、相模原線加算運賃を廃止する。
相模原線加算運賃は段階縮小しており、前回の2019年10月1日運賃改定以降は相模原線で19km超利用時、つまり橋本から稲城以遠を利用時のみ20円の加算運賃を課していた。今回の運賃改定ではその加算運賃を廃止し全線で京王線と同額の運賃水準となる。
ただ、今回の京王電鉄運賃改定では基本運賃を値上げしているため、橋本発着でも全区間で運賃が値上げとなっている。
結び
今回の2023年10月1日京王電鉄運賃改定では、25年前に値下げをして以来の本体価格値上げとなった。
今後京王電鉄でどのような運賃改定を行うのか、見守ってゆきたい。
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