JR旅客各社は2023年4月14日、プレスリリースにて2022年10月以降にジャパンレールパスの価格を改定すると公表した( 「ジャパン・レール・パス」の商品内容の拡充および価格改定等について )。今回はこれについて見ていく。
安すぎるジャパン・レール・パス値上げへ!
今回の2023年10月以降実施のジャパンレールパス価格改定では、大幅な価格改定を行う。改定前後の価格は以下の通り。
商品名 | 改定前 | 改定後 | 値上げ率 |
普通車7日間 | 33610 | 50000 | 48.8% |
普通車14日間 | 52960 | 80000 | 51.1% |
普通車21日間 | 66200 | 100000 | 51.1% |
グリーン車7日間 | 44810 | 70000 | 56.2% |
グリーン車14日間 | 72310 | 110000 | 52.1% |
グリーン車21日間 | 91670 | 140000 | 52.7% |
これによりオンライン販売では5割程度、窓口販売と比べると6割程度値上げすることになる。
そもそもジャパン・レール・パスは西ヨーロッパの鉄道乗り放題のユーレイルパスと比べてもかなり割安な価格設定だった。5割や6割の値上げは大幅な値上げであるが、先進国水準に合わせたとなればそれまでだろう。
そもそも人間心理上高い買い物をした方が満足度が上がるし、日本に来る訪日外国人はそこそこ生活に余裕がある人たちなのでその人たちからお金をより多く徴収して市民交通の値上げを回避し現状価格のまま維持できるならそれに越したことはない。
なお今回の2023年10月予定のジャパン・レール・パス価格改定に際し、窓口販売を取りやめ全て専用ウェブサイトからの発券に限ることになる。発行費用を抑えて経費を節減したいようだ。
対価として追加支払いで「のぞみ」「みずほ」利用可能へ!
今回の2023年10月以降実施のジャパンレールパス価格改定では、東海道山陽新幹線「のぞみ」や山陽九州新幹線「みずほ」が別途専用きっぷを購入することで利用できるようになる。
そもそも東海道新幹線「のぞみ」は1992年3月12日の運転開始から30年以上に渡りジャパン・レール・パスが利用できなかった。このため「のぞみ」「みずほ」を利用するには利用区間全区間の新幹線特急券と乗車券が必要となっていた。
なぜジャパン・レール・パスで「のぞみ」が利用できなかったかと言うと、運転本数が少なく一般利用で埋まってしまうため「ひかり」の利用を優先させたかったことによる。これは2003年10月1日東海道新幹線ダイヤ改正におけるのぞみ大増発の際もそうで、「のぞみ」が東海道新幹線内でも最大で毎時7本までしか設定できなかったために「のぞみ」への集中を避ける目的でジャパン・レール・パスの適用除外となっている。
ただ、2020年3月14日東海道新幹線ダイヤ改正で「のぞみ」は最大毎時12本運転できるようになったほか、2023年3月18日ダイヤ改正では山陽新幹線内でも「のぞみ」を最大毎時7本設定できるようになった。東海道新幹線内ですら混雑率は110%以内とよほどなことでもない限り満席にならなくなったほか、山陽新幹線ではほとんどの日で空席が出る始末、むしろ8両編成で指定席が2人掛け&2人掛けシートで座席数が少ない「さくら」へ混雑が集中していった。
そこで今回のジャパン・レール・パス価格改定に伴い、「のぞみ」利用促進のために値上げに合わせ別途専用券を購入することにより「のぞみ」「みずほ」を利用できるようにする。
ただ、2023年現在でも「のぞみ」の利用は東海道新幹線と山陽新幹線に温度差がある。東海道新幹線ではもっぱら利用されるが、山陽新幹線内では空席が目立つ。
そのため、もし乗客流動に合わせるなら、山陽新幹線内はジャパン・レール・パスのみで利用可能または「さくら」との差額料金程度で利用可能、東海道新幹線内はのぞみ新幹線特急料金相当を徴取しに行くだろう。
ただ、2020年から2022年までの旅客減もあって喉から手が出るほど追加料金が欲しいのは、JR西日本やJR九州、つまり山陽新幹線や九州新幹線である。そう考えると、よりによって物価に疎い訪日観光客がメインターゲットなので山陽九州新幹線内でより徴収してもおかしくはない。
また時期によって値段を変えたり発券停止するかもしれない。
おそらくそののぞみみずほ専用券の料金が方向性も含め未確定なので、公表できる段階にないのだろう。
ただこの券を発券するようになるなら、「はやぶさ」「こまち」も同様の券を発券して追加料金支払いでの利用に変えてもいいのではと思ったが。
(2023.7.31 追記)なおジャパン・レール・パス用のぞみみずほ専用券料金は、乗車区間の自由席新幹線特急料金と同額となる。
結び
今回の2023年10月ジャパン・レール・パス価格改定では、5割〜6割程度の大幅な値上げを図ることで市民生活に直結する普通列車の値上げを抑制するようだ。
今後JR旅客各社でどのような企画乗車券の値上げを行うのか、安すぎる青春18きっぷの値上げはあるのか、見守ってゆきたい。
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