流鉄は2023年6月8日、2運賃を改定すると公表した( 鉄道事業の旅客運賃上限変更認可申請書 )。また
流鉄は2023年6月12日、2024年4月1日に流山線で運賃を改定すると公表した( 鉄道運賃の改定申請について )。今回はこれについて見ていく。
10円~20円の運賃値上げ実施へ
今回の2024年4月1日流鉄運賃改定では、流山線で運賃を改定することとなった。
そもそも当初公式ウェブサイトに記載がないほか、国土交通省の申請資料でも実施日が目安すら分からない状況であったが、申請から4日後に初めて流鉄webサイトに2024年4月1日から実施する見込みだと公表があった。
1973年4月1日の国鉄武蔵野線開業により常磐線との交点に新松戸駅を設置したことで、流鉄幸谷駅から馬橋乗り換え常磐線利用がすべて新松戸駅から常磐線直通利用に移ったほか、2005年8月24日のつくばエクスプレス開業に伴いJR東日本武蔵野線南流山駅から東京都区内へ直通で行けるようになったほか、流山セントラルパーク駅設置により流鉄流山線の流山市内の鰭ケ崎、平和台、流山の3駅がつくばエクスプレスの駅勢圏となり旅客が半減した。
申請資料ではつくばエクスプレス開業により他社バスが営業を開始したことが直接要因だとしているが(昼間以降20分間隔でやってくる東武バスセントラル南流02系統を指しているものと思われる)、バスの輸送量なんて限られているわけで徒歩圏内の駅に東京都区内に乗り入れるつくばエクスプレスの駅があったら東京に出るのにそちらを使うだろう。
一方流鉄が前回本体価格を改定したのは1989年10月流鉄運賃改定であり、それから34年間もの間本体価格を据え置いてきたこととなる。
今回の運賃改定前後の流鉄流山線の運賃は以下の通り。
改定日 営業キロ(km) |
2019/10/1 消費税率改定 |
2024/4/1 | 値上げ率 |
1~2 | 130 | 140 | 7.7% |
3 | 140 | 150 | 7.1% |
4 | 170 | 190 | 11.8% |
5 | 180 | 200 | 11.1% |
6 | 200 | 220 | 10.0% |
単位:円
今回の流鉄流山線運賃改定では3km以内は10円、3km超は20円の値上げとなっている。これにより初乗り2kmまでは130円から140円に、馬橋~流山間の全線は200円から220円に値上げする。
これは3km以内は2023年3月18日JR東日本鉄道駅バリアフリー料金制度開始に伴う運賃値上げにより一律10円値上げとし馬橋~新松戸間が136円から146円に値上げしたため、並行する流鉄流山線は馬橋~幸谷間130円のまま据え置いていた。が、10円値上げして140円としても客離れはしないと判断したのだろう。
また、南流山~流山市役所入口~流山おおたかの森間に東武バスセントラル南流02系統が昼以降20分間隔で運行しており、南流山駅~平和台駅・流山市役所入口間はIC168円となっている。が、この区間を2023年7月以降に20円程度値上げし190円にする見込みだ。このため流鉄でも同じ20円を値上げしても客離れは起こさないと判断したのだろう。
また今回の運賃改定は東京都区内へ出る際も考慮して設定している。
南流山~北千住間はつくばエクスプレス419円に対し鰭ケ崎~馬橋乗り換え~北千住間の流山線・JR常磐線利用は値上げ後も420円で済むのでほぼ同額だし、また流山セントラルパーク~北千住間はつくばエクスプレス471円に対し流山~馬橋乗幸谷り換え~北千住間の流山線・JR常磐線利用は値上げ後も450円となり流鉄利用の方が安くつく。しかも北千住から先なら常磐線利用の方がさらに安くなるほか、馬橋ではなく幸谷で乗り換えればさらに30円~40円安くつくし実際馬橋より幸谷の方が乗車人員が多い。そう考えると未だにつくばエクスプレス相手に全力で競合しようとしているようだ。
ただそもそもJR東日本と運賃で張り合う必要性がなく、バス並みに初乗り170円にしてもそこまで逃げやしないだろう。また流鉄流山線はSuicaやPASMOなどのICカードが使えないため現金払いできっぷ購入をしなければならないほか、馬橋駅にはいまだに有人の出札窓口がある。もし存続する気があるならICカードを導入してもっと運賃を上げてもいいとは思うが。
流鉄流山線では2023年7月1日にダイヤ改正を実施し平日朝に減便を図っている。今後存続も含め議論の余地がありそうだ。
結び
今回の2024年4月1日流鉄運賃改定では、流山線で運賃を改定することとなった。
今後流鉄流山線でどのような経営方針を採るのか、見守ってゆきたい。
コメント