えきから時刻表は、ぐるなびが運営する時刻表検索サイトである。2019年3月29日を以てサービスを終了することとなったことから、えきから時刻表の軌跡についてまとめる。
なお、沿革では各リンクをWay Back Machine経由で当時の状態を再現しているページに設定した。えきから時刻表19年6か月の歴史に浸ってほしい。
概要
えきから時刻表は、株式会社ぐるなびが運営する時刻表検索サイトである。
機能として、駅から駅への時刻検索ができるほか、新幹線や有料特急列車、航空機利用の有無などを選択できる。
各駅の時刻表は検索の他に路線図から引くことができる。
各駅時刻表より時刻を選択すると列車詳細が表示され、全停車駅の発着時刻(但し優等列車の通過する中間駅の多くでは着時刻を発時刻の時刻で代用)を掲載しているほか、列車番号、全通過駅の表示および2013年2月で廃止された駅コードを調べることもできる。
また最大の目玉は路線時刻表を検索できる点で、何ページにも及びその路線の時刻表を出力できる点にあった。この機能がWEBで公開されている時刻表の中で最も紙製の市販時刻表に近い点とされ、幅広い年代に対応していた。
しかし2010年代に入るとスマートフォンが普及し始めたことで、駅から駅への検索ではなく地図上の任意の地点間の検索サービスを開始する業者が現れた。このことから駅と駅を結ぶだけの検索機能しか持ち合わせていなかったえきから時刻表の利用者は徐々に減っていった。
またWEBで公開されている時刻表・乗換案内は大抵ダイヤ改正後のダイヤは2週間ほど前には対応するのだが、えきから時刻表のシステムの仕様上ダイヤ改正実施後にしか新しい時刻表を閲覧できない。しかも更新は大抵平日に行われるため、ダイヤ改正実施日(主に土曜日)から数日後に反映されることが多かった。
また検索機能の一部にAdobe社のFlashを用いているが、Adobe社よりFlashのサポートを2020年末で終了することが公表されており、機能代替ができなくなるためサービス終了になったものと思われる(アメーバピグ然り)
なお2001年頃から2007年頃まで、東武鉄道の公式WEB時刻表だった。
沿革
- 1999年10月 株式会社NKBによりhttp://eki.joy.ne.jp/でサービス開始。当初はJR線のみで私鉄は非対応であった
- 2000年2月 株式会社ぐるなびが株式会社NKBより分離し独立
- 2000年10月 日本地図がシンプルになる
- 2000年12月 トップページレイアウト変更に伴い駅コード検索が消える
- 2002年3月 http://www.ekikara.jp/にドメイン変更とトップページリニューアルを実施
- 2002年7月 株式会社ぐるなびに移管。
- 2005年2月 全国全路線対応化、リニューアル
- 2005年6月 ロゴ変更、現在のロゴに
- 2007年3月 廃止前最後の大規模フォーマット更新を実施
- 2019年3月29日 サービス終了
廃止後の代替サービスについて
この章では、えきから時刻表の廃止に伴い代替できる全国版の無料のサービスについて探していく。なお列車詳細で通過駅のレマークを掲載している無料のWEB時刻表はないので、紙製の時刻表の購入を検討していただきたい。
駅探
駅探であれば、路線図から駅名を検索することはできないものの(全国の地下鉄路線図が東京メトロ風に書かれているのは面白いのではあるが)、駅名検索を行うと路線・方面が出ます。
またスマホでもえきから時刻表に最も似た駅別時刻表示が初期設定として出てくるほか、種別・愛称、行先や当駅始発列車で絞込検索もできます。列車詳細は初期設定では時刻表表示駅からとなりますが、始発駅・途中駅を見るをクリックすると正しく表示されます。
乗り換え案内はえきから時刻表廃止が決まってから、詳細検索を見直し、操作画面をえきから時刻表のオプション検索に近づけているようです。
このことから、最もえきから時刻表に近いのではないでしょうか。
ただし、アプリ版は駅時刻表はリスト表示しか対応していないこと、列車詳細は有料会員(324円/月~)にならないと閲覧できないので、えきから時刻表と似た表示にしたいのであればウェブからアクセスしましょう。
Yahoo
Yahoo乗り換え案内でも駅別時刻表を検索することができます。
駅探より優れている点はウェブ版であれば路線図から検索することができるほか、乗換案内は自由席優先か先に指定することもできます。
またアプリ版でもえきから時刻表に似たヨコ表示の時刻表が閲覧でき、停車駅一覧も見ることができます。
しかし、列車詳細に番線表示がないほか、絞込検索ができません。
NAVITIME
NAVITAIMEも駅別時刻表を検索することができるが、スマホ版の場合初期設定がリスト表示であること、アプリからアクセスすることができないこと、種別・愛称での絞り込みができるが複数選択できないこと、リスト(列車詳細)がスマホ版ではプレミアムサービス(315円/月~)に加入しないと閲覧できないことから、使い勝手が悪そうだ。
トレたび
交通新聞社の運営するトレたびの経路・時刻表検索でも調べることができる。
駅時刻表は種別色が1色しかなく見ずらい一方、路線を混ぜて同じ面に駅時刻表を出力することができる。例えば小倉から博多へ山陽新幹線で行くのか鹿児島本線特急や快速で行くのか迷っているとき、同じ面に異なる2線の時刻表を出力できる(しかも在来線は種別ごとに絞り込みまでできる)ので、自分に合ったマイ駅時刻表をカスタマイズできる。
また今回挙げる代替サービスの中で唯一路線時刻表を搭載している。発駅と着駅を両方記入すればその両駅に停車する列車のみの路線時刻表が作成されるのだが、発駅のみ入力すると途中駅であってもその路線の全区間の列車時刻表を出力できる。初期設定が10本しかないので使い勝手はえきから時刻表には劣るが、下部の絞込検索で100件にしてしまえば問題ない。
さらに今回挙げる代替サービスの中でJR・私鉄問わず唯一列車番号を提供している。列車番号は駅別時刻表の列車詳細からでも路線時刻表からでも確認することができる。
ただし経路検索は、経路は自動で調べてくれるが、時刻は全て手動で設定しなくてはならないのだ(しかも時間帯や種別による絞込検索ができないし、のぞみと表示してても平気でこだまの時刻も出す)。このため、ここで1時間半寄り道しようとか考えている人にとってはありがたいサービスなのかもしれないが、単純に駅から駅までできるだけ早く着きたいと願う99%以上のユーザーにとっては無駄な作業が多すぎる。
トレたびは駅時刻表のカスタマイズや路線時刻表の表示などでは他のサービスに類を見ないほど優れている点があるものの、経路検索があまりにも一般の方には使いづらい。一言でいえばクセが強いということなのだろう。
ジョルダン
ジョルダン乗り換え案内でも駅時刻表を検索できるが、ウェブ版では新幹線では運行表を得閲覧するのに有料会員登録が必要なほか、在来線では一切詳細を一切見ることができない。
他より優れている点は、青春18きっぷ検索があることくらいだ。青春18きっぷど初心者であれば重宝するかもしれないが、それ以外の方の利用はお勧めできない。
アプリ版もリスト表示が主でえきから時刻表同様のヨコ表示にしてしまうと行き先が消えてしまう。また列車詳細は無料で見ることができ、到着番線を表示する数が駅探よりも多いが、到着時刻しか確認できないので出発時刻も知りたいユーザーにとっては不向きとなりそうだ。
駅すぱあと
駅すぱあとでも駅時刻表を検索できるが、ウェブ版では一切詳細を一切見ることができない。そもそも文字が薄すぎて読みにくく、閲覧自体向いていないものと思われる。
アプリ版ではリスト表示でしか駅別時刻表を表示できないほか、絞込検索は複数指定できるものの、3色しかないため各駅停車、有料特急、それ以外でしか判別できず、各駅停車の運転が少ない区間では非常に見づらい。
えきから時刻表廃止代替まとめ
まず代替サービスを選定するに当たり、えきから時刻表をどのように使用していたかにもよるところが大きい。
まず路線時刻表や列車番号検索に使用していたのであれば、トレたび一択しかない。
それ以外の駅時刻表や列車詳細、経路検索などについては概ねどこのサービスでも提供しているが、当サイト管理人(快速++)の判断ではえきから時刻表の代替として使えそうなものは以下の通りとなる。
このように、えきから時刻表の駅時刻表や列車詳細、経路検索の代替としては駅探のウェブ版、アプリならYahoo乗り換え案内が一番優れているのではないだろうか。
結び
えきから時刻表は2019年3月29日を以てサービスを終了し、約19年6か月の歴史に幕を閉じることとなった。
2018年5月23日にはるるぶ交通・経路検索が廃止されており、今後も駅から駅にしか検索できないWEB版時刻表の存続の危機に立たされていることは間違いないようだ。
今後どのように変化するのか、見守ってゆきたい。
コメント
「トレたび」はどうですか。
http://jikoku.toretabi.jp/
スマホアプリ版(JRデジタル時刻表)は実質有料ですが。
ありがとうございます。追記させていただきました。
駅探を知らなかったので、とても参考になりました!