日本の四季を表す言葉、春夏秋冬。
この春夏秋冬、日本の天気を観測する気象庁と日本全国で鉄道事業を行うJR旅客各社では時期の定義が異なるのです。
気象庁の定義する春夏秋冬
気象庁では日本の春夏秋冬を以下のように定義しています。
- 春:3月~5月
- 夏:6月~8月
- 秋:9月~11月
- 冬:12月~2月
気象庁の定義では春夏秋冬を3か月ずつに分けています。これは一般的な季節感覚と合致しているもので、気象庁もそれに合わせています。
JR旅客各社の定義する春夏秋冬
次にJR旅客各社が通例用いる春夏秋冬は以下の通りです。
- 春:3月~6月
- 夏:7月~9月
- 秋:10月~11月
- 冬:12月~2月
気象庁の定義する春夏秋冬と比べ、春は1か月長く4か月もあるほか、夏は1か月後ろにずれ、秋は1か月短くなっています。
なぜこのように気象庁の定義とずらしているのでしょうか。
JR・国鉄がずらすようになったのは、1982年から
そもそもJR旅客各社の前身、日本国有鉄道は春夏秋冬の区分は1970年代まで気象庁に合わせていました。
1982年春、東北新幹線が大宮~盛岡間で開業することとなりました。が、埼玉県内での用地取得遅れにより工事期間が延び、1982年6月22日に開業することが決まります。
ただ、春開業としていたことと整合性を合わせるため北海道の釧路では6月に桜が咲くという謎の根拠により6月までは春だとしたのです。
このため1982年以降国鉄は3月~6月を春とし、1987年に国鉄分割民営化により誕生したJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の6社でも引き続き使うこととしたのです。
ずらすことのメリット
国鉄を継承したJR旅客6社ですが、春夏秋冬の時期は1982年以降の国鉄が決めたものに沿っています。
が、このずらしたことに大きなメリットがあります。
国鉄およびそれを継承したJR旅客各社は、特急券などの各種きっぷを運転日の1か月前から発売します。それに先立ち時刻表やプレスリリースなどで臨時列車の案内をする必要が生じます。これらの臨時列車の発表は春夏秋冬の各シーズンが始まる1か月と少し前の年4回、各月25日までに公表されるのが通例です。
この際に、3月は春休み、7月からの夏休み、12月の年末年始冬休みのそれぞれ月初でシーズンを切ることになったため、従来の春夏秋冬より間近まで臨時列車の運転の要否を考えられるようになったのです。
このメリットが大きいことから、国鉄分割民営化しJR旅客各社が発足してから30年以上経った今でも、気象庁とは異なる春夏秋冬の区分を使っているわけです。
結び
このように気象庁とJRでは春夏秋冬の時期が違います。
もっともJR・国鉄側が春夏秋冬の時期を変えた理由は不純ではありますが、結果的に多客期の1か月少し前で切れているため臨時列車の設定に助かっています。
JRの春夏秋冬の区分けは今となっては合理的なのです。
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