京浜急行電鉄の看板列車、快特。
快特は一番停車駅が少なく、最高速度も関東大手私鉄では最速の120km/hで運転します。
ただ、速い速度で運転するにはカーブが少ない、前の列車が詰まっていないなどの様々な条件があります。このため京急電鉄の快特は120km/h運転を行う区間が限られています。
今回はこれについて見ていきましょう。
そもそも京急電鉄の快特とは
京急電鉄の快特は、京浜急行電鉄の運転する看板列車です。
運転系統は、主に泉岳寺・品川~横浜~京急久里浜・三崎口間および都営浅草線~品川~羽田空港間に大別されます。また早朝に三浦海岸~横浜~羽田空港間の列車もあります。
このうち120km/hで運転する快特として名高いのは泉岳寺・品川~横浜~京急久里浜・三崎口間運転の快特で、列車番号からいわゆるA快特と呼ばれています。また一部に都営浅草線と横浜方面を結ぶ快特もありますが、こちらは列車番号からSH快特と呼ばれています。
この120km/h運転により、品川~横浜間を最速17分、品川~金沢文庫間を最速33分で結んでいます。
区間ごとの最高速度
京急電鉄では区間ごとに最高速度や制限速度が決められています。
なお列車は最高速度や制限速度を1km/hたりとも超過して運転することはできません。
区間 | 最高速度 | 運転速度の目安 |
泉岳寺~品川 | 80km/h | 60-70km/h |
品川~北品川 | 120km/h | 20-45km/h |
北品川~立会川 | 60-100km/h | |
立会川~京急蒲田 | 95-115km/h | |
京急蒲田~京急川崎 | 105-120km/h | |
京急川崎~横浜 | 110-120km/h | |
横浜~戸部 | 110km/h | 30-50km/h |
戸部~南太田 | 55-85km/h | |
南太田~上大岡 | 75-110km/h | |
上大岡~金沢文庫 | 70-110km/h | |
金沢文庫~安針塚 | 75-110km/h | |
安針塚~横須賀中央 | 60-85km/h | |
横須賀中央~堀ノ内 | 65-85km/h | |
堀ノ内~京急久里浜 | 80-105km/h | |
京急久里浜~YRP野比 | 60-95km/h | |
YRP野比~津久井浜 | 60-75km/h | |
津久井浜~三崎口 | 85-100km/h | |
京急蒲田~羽田空港 | 110km/h | 85-110km/h |
以上が区間別の最高速度とおおまかな運転速度です。
立会川~横浜間は比較的安定して110km/h以上の運転を行うことが多いです。ただし立会川~京急蒲田間は平和島駅構内などにカーブがあることから、通常運転時には115km/hまでの運転とすることが多くなっています。
また横浜~三崎口間の最高速度は110km/hとなっていますが、このうち快特が100km/hを超えて運転するのは井土ヶ谷~上大岡間、屛風浦~杉田間、金沢文庫~金沢八景間、追浜~安針塚間、北久里浜~久里浜間などごく一部に限られており、70~95km/hで運転する区間も多くなっています。逆を言えば、金沢文庫~金沢八景間のような隣駅間でもカーブが少なければ快特は100km/hを超える運転を行います。
そう考えると120km/h運転を行うのは主に京急蒲田~横浜間に限られます。
逆に品川~北品川間の45km/h制限、戸部駅周辺の35km/h制限、八ツ山橋の踏切の25km/h制限などでかなり減速する区間があります。いずれも品川や横浜を南方面に出てすぐのところですから、スタートダッシュが遅くなりがちなのも京急の快特の特徴です。
種別ごとの最高速度
京急電鉄では種別ごとに最高速度を決めています。
停車駅の一番少ない快特は120km/hを出しますが、特急は110km/h、エアポート急行は100km/h、普通は95km/hまでしか出しません。これは京浜急行への取材により明らかとなっています。
これは特急やエアポート急行は快特と比べ停車駅が多いため、120km/hに達してもすぐに停車のために減速しなくてはならないためです。また列車通過速度が落ちると線路保守費用を抑えられます。このため線路保守費用削減目的での種別格下げも行っています。
また京急電鉄は他社と相互直通運転を行っているため、他社車両が京急線にも乗り入れます。A快特やSH快特、つまり横浜に乗り入れる快特は京急車しか入らず全列車が120km/h対応なのですが、羽田空港から都営浅草線方面に直通する快特は北総車や京成車のうち110km/h対応しかしていない車両の運用があるため、物理的に110km/hまでしか出せません。このため、羽田空港発着の快特は基本的に最高速度110km/hでの運転となっています。
このためどんなに直線区間の多い立会川~横浜間であっても特急は110km/h、エアポート急行は100km/hまでしか出さないですし、羽田空港発着の快特も多くが110km/hまでの運転としています。あくまでも種別ごとの最高速度のため特急やエアポート急行は遅延回復時の回復運転で120km/h運転を行うことはありますが、きわめてめずらしいですしあまりありません。
このため通常運転で120km/h運転を行うのは立会川~横浜間のうちA快特、SH快特、エアポート快特となります。
時間帯ごとの最高速度
朝の快特は特急と同じ所要時間のため、110km/h以下での運転となっています。が、前の列車も詰まっているため昼間と比べ金沢文庫~品川間の所要時間が10分程度伸び、ほとんどの区間で最高100km/hでの運転となります。
また夕方も昼間と比べ品川~金沢文庫所要時間が5分ほど伸びており110km/h運転をすることが多いです。
このため、快特が120km/h運転を行うのは昼間に限られています。
また実際に快特に乗ると、神奈川新町や八丁畷付近で踏切安全確認のため減速することが多くなっています。このため昼間の快特であっても120km/hを出し続けられるとは限りません。
京急の快特が120km/hを出すのはいつどこなのか
では京浜急行電鉄の快特が120km/h運転を行うのはいつどこででしょうか。
まず区間としては立会川~横浜間でしか120km/h運転を行いません。横浜~横須賀中央方面は110km/hまでしか出せません。
また朝夕は列車が多く120km/h運転をしずらくなっています。また土休日朝と夜はそもそも快特の運転が少なく最速達列車が特急となるため、そもそも快特の設定自体がほとんどありません。
そう考えると快特が120km/h運転を行うのは、立会川~横浜間の平日や土休日の昼間の横浜に乗り入れる快特に限られそうです。
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