和歌山・関西空港へ最大40円の引き上げへ 南海電鉄運賃改定(2023年10月)

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和歌山・関西空港へ最大40円の引き上げへ 南海電鉄運賃改定(2023年10月)

南海電鉄は2022年10月28日、プレスリリースにて2023年10月1日に運賃改定を行うと公表した( 鉄道線旅客運賃の変更認可申請を行いました )。今回はこれについて見ていく。

2023年鉄道バス運賃料金改定まとめはこちら!

28年ぶりの運賃引き上げへ

今回の2023年10月1日南海電鉄運賃改定では、消費税増税に伴う運賃改定を除くと1995年9月1日近畿日本鉄道運賃改定以来約27年7か月ぶりに運賃改定を行う。

関西大手私鉄5社では1974年の対キロ区間制一斉導入以降運賃改定は同時に行ってきた。が、2023年の関西大手私鉄運賃改定では4月1日に近鉄が運賃改定を行うほか、阪急・阪神・京阪は鉄道駅バリアフリー料金制度導入による運賃改定を行うが、南海電鉄のみ6か月遅れで運賃改定を行うこととなった。

改定率は定期外で9.0%、通勤定期で12.3%となる。

これにより初乗りは160円から180円に引き上げOsaka Metro並みとなる。また15kmまでは30円、それ以遠は40円の引き上げとなる。具体的な運賃は以下の通り。

南海電鉄運賃前後比較
営業キロ(km) 2019/10/1
消費税率改定
2023/10/1 引き上げ率
1~3 160 180 12.5%
4~7 210 240 14.3%
8~11 260 290 11.5%
12~15 340 370 8.8%
16~19 380 420 10.5%
20~23 450 490 8.9%
24~27 500 540 8.0%
28~31 570 610 7.0%
32~35 610 650 6.6%
36~39 650 690 6.2%
40~44 700 740 5.7%
45~49 750 790 5.3%
50~54 810 850 4.9%
55~59 840 880 4.8%
60~64 890 930 4.5%
65~69 930 970 4.3%
70~74 970 1010 4.1%
75~80 1020 1060 3.9%
81~86 1050 1090 3.8%
87~92 1100 1140 3.6%
93~98 1150 1190 3.5%
99~104 1190 1230 3.4%
105~110 1240 1280 3.2%
111~116 1280 1320 3.1%
117~122 1320 1360 3.0%
123~128 1360 1400 2.9%

なお今回の運賃改定では空港線加算運賃は据え置く。




今回の定期外改定率は9.0%となっているが、引き上げ率が9.0%を超えているのは19km以内のみである。そう考えると南海電鉄利用者は大阪市~堺市の間など近距離利用者が多いということだろう。

ただ1区間ごとの運賃差にバラつきがあり、1区上がって80円上がったと思えば次は50円しか上げないなど差額が不均等となっている。

とはいえ、2023年4月1日実施の近畿日本鉄道運賃改定のように概ね2割引き上げと比べたらぜんぜんマシで、最大40円の引き上げで済んだだけでも吉だろう。

なお今後も通勤型新型車両の投入を行いワンマン線区には2ドア17m級の2000系を転属させるようだ。これにより老朽化した2200系ズームカーを廃車とするようだ。

遠距離は一律40円引き上げで引き上げ率緩和へ!

ただ、普通運賃の上限引き上げ額を40円としているのはいくつか理由がある。その中で最も有力とされているのが関西空港輸送におけるJR西日本との競合である。

2022年現在、南海電鉄難波~関西空港間の運賃は加算運賃も含め930円となっている。42.8kmの区間で空港連絡鉄道で930円というのはまあ妥当な価格設定だろう。

ただ、梅田から関西空港に行く際に地下鉄御堂筋線を経由するとOsaka Metroの運賃230円を合わせた1,160円となる。JR西日本関空快速が大阪~関西空港間を直通で1,210円で利用できることを考えると差額が50円しかない。

このうちOsaka Metroは2023年4月より鉄道駅バリアフリー料金制度により10円の値上げを図るため、今回の2023年10月1日南海電鉄運賃改定を合わせると50円の引き上げとなり1,210円となる。が、JR西日本では関西空港は電車特定区間外のため鉄道駅バリアフリー料金制度が適用となるのは2025年以降、おそらく10円の値上げしかしない見込みだ。そうなると、2023年10月~2025年頃まで梅田~関西空港間の普通運賃は御堂筋線・南海空港急行利用もJR西日本関空快速利用も同額となる

そう考えると、関西空港への競合を考えた際にJR西日本よりも運賃を値上げするわけにはいかないと判断したことから、普通運賃引き上げ上限を40円としたのだろう。

なお通学定期は今回の運賃改定以降も運賃を据え置くが、通勤定期は遠距離ほど割引率の縮小の程度が大きい。そう考えると普通運賃の15km超の一律40円値上げは定期外利用の多い関西空港発着利用向けの緩和策だろう。




特定運賃設定で引き上げ緩和へ

今回の2023年10月1日南海電鉄運賃改定では、高野線に特定運賃を設定する。

難波~中百舌鳥間は2022年時点で普通運賃340円となっている。今回の運賃改定で所定では370円に引き上がるが、難波~中百舌鳥間に特定運賃350円を設定し10円の引き上げに留める。これにより難波・新今宮から泉北高速線方面へ利用する場合も10円の引き上げに留めることとなる。

なんば~なかもず間はOsaka Metro御堂筋線で行くと330円で済んでしまうため既に南海の方が運賃が高いし、梅田まで行くとなればなおのことである。このため特定運賃を設定することで地下鉄御堂筋線との運賃差を少しでも広がらないようにするようだ。

もし370円区間を全て難波~中百舌鳥間の特定運賃350円に調整すれば運賃差是正にはなる。もっとも南海電鉄側は10円でも多く運賃を徴収したいだろうから競合しない区間では極力運賃を高く徴収したいのだろう。


結び

今回の2023年10月1日南海電鉄運賃改定では、関西大手私鉄4社運賃改定と遅れること6か月後に運賃改定を行うこととなった。

今後南海電鉄でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。

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