4時間の壁はウソ! 新幹線と航空機・高速バスが競合し安きに流れる3時間の壁にせまる!

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4時間の壁はウソ! 新幹線と航空機が競合する3時間の壁とそのゆらい成り立ちにせまる!

新幹線と航空機は競合していますが、それを表す言葉として4時間の壁という言葉を言う人がいます。果たして真実なのでしょうか。ゆらいやなりたちから迫ります。

競合する新幹線と航空機

新幹線と航空機はともに長距離移動を行うのに欠かせない交通手段で、お互いに競合しています。

ただ、区間によってどちらを利用した方がよいのか悩む人もいるでしょう。

そこで新幹線と航空機がどちらが優位になりやすいのかも踏まえながら本当にその境界は4時間なのか、見ていきましょう。




新幹線・陸路輸送は所要時間で旅客量が増える

新幹線は同じ距離であれば所要時間が短縮すればするほど利用者が増えます。

また、新幹線部分開業により途中駅乗り換えになったとしても旅客量は増えます。九州新幹線部分開業時の在来線特急「つばめ」→「リレーつばめ」は毎時1本から毎時2本に増発していますし、西九州新幹線部分開業で設定した在来線特急「かもめ」→「リレーかもめ」も7両から8両に増車しています。乗り換えが増えても40%値上げをしても所要時間が短縮すれば旅客量は増えます

ただし、新幹線では原則運賃や料金を値上げしようが旅客量に変化はありません。どんなに値上げしようが実際乗ってくれます。

ただし新幹線以外の陸路交通、おもに高速バスで3時間以内で到達できる程度の短距離の場合(おおむね新幹線で1時間程度で着ける場合)は新幹線開業により大きく値上げした場合在来線特急利用者だった一部の利用者が新幹線ではなく安い高速バスに移ることはあります。ただし、それを踏まえても新幹線開業による所要時間短縮による旅客増の方が上回りますので、多少鈍化するとはいえ鉄道利用客数は増えます。




航空機利用者は新幹線・陸路利用が3時間を切った瞬間、急激に旅客量が減る

では新幹線と競合する航空機はどうでしょうか。

九州新幹線全通により、新大阪~熊本間は最速2時間57分、新大阪~鹿児島中央間は最速3時間44分で結ぶようになりました。

同区間は競合する航空機もありますから、新幹線開業前後で航空機需要がどうなったのか調査が行われています( 九州新幹線鹿児島ルート全線開業後一年を経過して~人流の変化と新幹線駅からの二次交通~ )。結果は以下の通りです。

新幹線が3時間超かかるなら、航空機の旅客量は減らない

出典:九州新幹線鹿児島ルート全線開業後一年を経過して~人流の変化と新幹線駅からの二次交通~

この九州新幹線開業後の報告書では「新幹線の利用は増加 関西圏~熊本 鹿児島の空路の利用者はほとんど減少せず」としていますし、国土交通省の旅客地域流動調査でも新幹線で3時間超かかる区間では航空機の旅客量は新幹線開業後もほとんど変わっていません。

もし4時間の壁が正しかったら大きく減っているはずですよね?大きく減ってはいないし報告書でも航空機利用はほとんど変化していないとしていることから、4時間の壁は明確なウソであることがわかります

一方、新幹線に3時間の壁を破られると航空機利用者が大きく減ります。ゆえに、航空業界では陸路交通の3時間の壁は存在するといえるでしょう。

新幹線の所要時間が3時間を超えていれば航空機の旅客が減りませんから、航空機需要がある理由をそれ以上考えても墓穴を掘るだけでしょう。




新幹線と航空機のシェア率が拮抗するのはたまたま3時間30分~4時間なとき

では新幹線と航空機のシェア率がおおむね50%程度で拮抗するのはどこでしょうか。

まず新幹線や陸路の交通手段は2時間超の場合、所要時間が短くなれば短くなるほど利用者数が増えます。一方、航空機は新幹線が陸路交通が3時間超の場合旅客量は一定です。新幹線所要時間が3時間超の場合両者がお互いに影響しあうことがほとんどありませんから独立事象と言えます

ただ、それぞれの独立事象がたまたま同じ量になるのが、新幹線が定期列車で毎時2本以上ある場合は新幹線所要時間が4時間程度のとき、新幹線が定期列車で毎時1本しか運転しない場合は新幹線所要時間が3時間30分程度のときになります。

結果的に新幹線定期列車が昼間毎時2本なら4時間程度、定期列車が昼間毎時1本なら3時間30分程度でシェア率が50%程度で拮抗します。4時間の壁はこれがゆらいでしょうから、定期列車が毎時1本しか運転していない場合は4時間の壁は存在しません。安直に4時間の壁と言っている新聞やウェブサイトは信じない方がよいでしょう。

また、そもそも割合とは量を全体量で割ることなので量自体を比較検討しなければいけないのですが、うわべの割合だけでものを語るのが多すぎる。量と割合の違いが分からない方は小学校算数の復習を強くお勧めします。


結び

新幹線と航空機の競合において4時間の壁はほとんど存在せず、新幹線の所要時間が3時間を切らなければ航空機から旅客を奪うことはありません。

新幹線旅客量を増やしたいのであれば所要時間短縮や増発は効果的ですが、航空機の利用者を奪いたいのであれば所要時間を3時間以内にしなければなりません。

しいて言えば3時間の壁や3時間半の壁というべきで、4時間の壁という言葉は使うべきではないでしょう。

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