時刻表本文の文字の装飾と歴史 青字や太字の60年以上の歴史に迫る

時刻表は、1,000ページ以上に上る大変分厚い雑誌で、読むだけでも相当な情報量になります。

その相当な情報量を同じ太さ、同じ色で延々と表記していたら見間違いを起こしやすくなるほか、読んでいて飽きやすくなります。

そこで大型の時刻表では文字装飾を施すことによって列車によって表記の差異を設けています。

今回はJTB時刻表やJR時刻表の文字の装飾の歴史について見ていきます。


現在使用されている時刻表本文の文字装飾

JTB時刻表やJR時刻表では文字装飾にはいくつか種類があります。書体では太字斜字があるほか、字の色では標準の黒字の他に青字赤字があります。

以下は現時点での時刻表における列車ごとの文字装飾一覧です。横スクロールできます。

現時点の時刻表の文字装飾一覧
文字装飾一覧JTB時刻表JR時刻表
青太字東海道・山陽新幹線「のぞみ」
山陽・九州新幹線「みずほ」
東北新幹線「はやぶさ」「はやて」「こまち」
北陸新幹線「かがやき」「はくたか」
青細字北陸新幹線「あさま」「つるぎ」
黒太字+傍線在来線ページの特急列車
黒太字東海道・山陽新幹線「のぞみ」
山陽・九州新幹線「みずほ」
東北新幹線「はやぶさ」「はやて」「こまち」
北陸新幹線「かがやき」「はくたか」
在来線ページの急行列車
東海道・山陽新幹線「ひかり」
山陽・九州新幹線「さくら」
東北新幹線「やまびこ」「つばさ」
上越新幹線「とき」
赤太字在来線ページの特急・急行列車
斜字臨時列車

時刻表本文の文字装飾の歴史

ではJTB時刻表やJR時刻表では文字装飾でどのような違いがあるのでしょうか。双方にそれぞれ特色がありますので、それぞれ見ていきます。

JTB時刻表の文字装飾の歴史

まずは歴史の古いJTB時刻表(旧 国鉄監修 交通公社の時刻表)の文字装飾の歴史を見ていきます。

1925年4月の鉄道省運輸局編纂 汽車時間表創刊当初から文字装飾を施しています。当時は時刻を12時間制で書いており、午前を黒細字、午後を黒太字で記載していました。その後1942年11月に24時間制表記になったことから、午後の黒太字表記が消滅しています。

その後特急には黒太字+傍線、急行には黒太字が用いられるようになりましたが(少なくともダイヤ改正という語句が登場した1958年10月号では確認)、新幹線に太字が登場するのは国鉄監修 交通公社の時刻表1965年10月号。東海道新幹線超特急「ひかり」号に対して黒細字から黒太字に変更しました。

新幹線と在来線の連絡早見表でも新幹線ページや在来線ページ同様超特急「ひかり」号や在来線特急に対して黒太字を使用していましたが、1972年3月号より使用法を改め、乗り継ぎ駅にのみ黒太字を使用するようになります。その後1978年10月号にて青太字に改めます。これが時刻表における青字使用の始まりです。

その後1992年3月の東海道新幹線「のぞみ」運転開始に伴い、「のぞみ」に対して青太字を使用開始しました。また2011年3月の東北新幹線「はやぶさ」と山陽・九州新幹線「みずほ」運転開始に伴い、両列車に青太字を使用しています。

このようにJTB時刻表では、通過駅のある列車に対し太字を、通常料金に加え通常利用であってもさらに料金を必要とする場合に青太字を使用していました。

しかし2017年11月より新幹線時刻表ページをモノクロ化、「のぞみ」「みずほ」「はやぶさ」「こまち」の青太字黒太字に置き換えられます。また2018年3月より「ひかり」「さくら」が黒太字から黒細字に変更しました。

JR時刻表の文字装飾の歴史

1987年4月1日に国鉄分割民営化を実施するにあたり、弘済出版社(現在の交通新聞社)の第時刻表を改称する形でJR時刻表が発足しました。この際にJTB時刻表で既に導入していた新幹線と在来線の連絡早見表における乗り継ぎ駅での青太字表記を実施していたほか、JR時刻表では臨時列車に対し斜字を用いるようになります。

JR時刻表1987年6月号で、東海道・山陽新幹線100系「ひかり」に対して青太字を使用します。これが列車ごとに青太字表記をする始まりです。

この後1988年3月号より東北新幹線「やまびこ」や上越新幹線「あさひ」(当時)のうち最も停車駅の少ない各3往復(いわゆるスーパーやまびこ、スーパーあさひ)に対しても青太字を使用するようになります。

これに味をしめたのか、1988年8月より在来線ページにて2色刷りを開始、特急と急行を黒太字から赤太字に変更します(ただしJTB時刻表のように特急に傍線は引かれず、文字装飾に特急と急行の差異はない)。

1992年7月に山形新幹線が開業すると、いわゆるスーパーやまびこ、スーパーあさひに使用していた青太字を黒太字に置き換え、山形新幹線「つばさ」と「つばさ」に併結する「やまびこ」に対して青太字を使用するようになります。また1997年3月に秋田新幹線が開業すると、秋田新幹線「こまち」と「こまち」に併結する「やまびこ」に対しても青太字を使用するようになります。この頃はミニ新幹線に関連する列車を青太字で表記していたようです。

また1992年3月の「のぞみ」運転開始時は引き続き100系「ひかり」に対して青太字を使用していましたが、1993年3月号で「のぞみ」が毎時1本運転開始することに伴い「のぞみ」に対し青太字を用いるようになり、100系「ひかり」はほかの0系及び300系「ひかり」同様黒太字での表記となります。

その後2002年12月に東北新幹線八戸開業に伴い「こまち」の全席指定化と東京発着は全車指定席の「はやて」を設定することとなりました。これにより山形新幹線「つばさ」及び「つばさ」に併結する「やまびこ」は青太字から黒太字に変更し、「こまち」と「はやて」(「こまち」の併結は問わない)に対し青太字を使用するようになります。なお2011年3月より一部区間で加算額が必要な「はやぶさ」の運転を開始しましたが、「はやぶさ」も青太字表記にしているほか、「はやて」も引き続き青太字で表記しています。

また1992年7月より上越新幹線は文字は黒字のみとなりましたが、1997年10月の長野新幹線開業に伴い長野新幹線「あさま」に対し青細字を使用、以降北陸新幹線には青字を使用しているほか、2015年3月から運転を開始した「かがやき」「はくたか」には青太字を使用しています。

JTB時刻表とJR時刻表の文字装飾の違いとは

このように、JTB時刻表とJR時刻表では文字装飾に大きな差があります。JTB時刻表は列車の通過駅の差によって停車駅の少ないものから順に青太字>黒太字>黒細字の順に使われる傾向にありますが、JR時刻表では停車駅の差に関係なく特異な列車に対して青字や赤字を用いたり、臨時列車に斜字を用いることで、時刻表の早引きをして素早く定期列車の情報を案内できるようにしています。

つまり、JR時刻表は特異な列車を色文字や斜字でパッと手早く情報をつかめますが、じっくり読むのに適していません。JR時刻表はJR各社の社員が旅客案内時に引くことを目的としていますので、時間がかかったら業務に支障をきたすほか(そんなのでいちいち臨時列車の運転日まで確認していたらさらに時間がかかる)、みどりの窓口やJR全線きっぷ売り場では行列ができてしまいかねません。そのため、できるだけ手短に引くために文字装飾を利用しているようです。

一方、JTB時刻表の文字装飾は列車ごとの速達性を知る上では極めて有用です。また時刻表本文がモノクロで統一されているので目に優しい設計となっていてじっくり読むのに適しています

ただ、少なくともJR時刻表の誕生がJTB時刻表に競合意識をもたせ、文字装飾を発展させたのは間違いないと思われます。1992年3月号で東海道新幹線「のぞみ」に対し青太字にしたのは著書によれば編集長判断で決めたとしていますが、実際にはJR時刻表で100系「ひかり」に対して青太字を使用していたことに対抗するためであった可能性が極めて高く、JR時刻表がなければJTB時刻表の列車別の青太字使用はなかったかもしれません。

結び

JTB時刻表とJR時刻表には、文字装飾の目的が異なることから、大きな違いを生み出しています。

時刻表を読む際・選ぶ際には、文字装飾を気をとめてみるのはいかがでしょうか。

JTB時刻表についてさらに詳しく知りたい方はこちら

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